牛肉が固くなるのはなぜ?やわらかく仕上げる焼き方
牛肉が焼くと固くなる主な理由は、焼きすぎによって肉の繊維が縮み、水分が抜けることと、もともと筋の多い部位を短時間で焼いていることです。ステーキは表面に焼き色をつけたら火の当て方を調整し、薄切り肉は広げて手早く加熱するのがコツです。
牛肉は部位や厚さによって適した調理方法が変わります。サーロインなどのステーキ用の肉と、炒め物に使う薄切り肉を分けて、家庭での焼き方を説明します。
牛肉が固くなるのはなぜ?
長く焼くと肉の繊維が縮むため
牛肉のたんぱく質は熱で固まり、肉の繊維も縮みます。強火で焼き続けると、表面が固くなるうえに肉の水分が失われ、パサついてかみ切りにくくなります。日本食肉消費総合センターも、表面に焼き色がついたら火を弱め、強火で加熱し続けないよう説明しています。
部位によって筋の量や性質が違うため
サーロインやヒレはきめが細かく、ステーキに向くやわらかい部位です。一方、肩やすねなどは筋が比較的多く、同じように短時間焼いてもかたさが残りやすくなります。火加減だけで、どの部位も同じやわらかさになるわけではありません。
ステーキを焼く前に確認すること
- 肉の部位:やわらかさを優先するなら、サーロイン・リブロース・ヒレなど、ステーキ向きの部位を選びます。
- 肉の厚さ:厚さ2cm前後の一枚肉は、薄さ1cm程度の肉より中心への火の通りが遅いため、焼く時間と休ませる時間を調整します。
- 表面の水分:焼く直前にキッチンペーパーで軽く押さえます。表面が濡れたままだと、焼き色がつくまで時間がかかります。
- 下味:塩は焼く直前に振ります。薄く広げ、片側だけに固まらないようにします。
キッコーマンが紹介する家庭向けのステーキの方法では、肉を長時間室温に置く必要はなく、冷蔵庫から出した肉をそのまま焼き始めます。冷凍肉の場合は、冷蔵庫で解凍してから調理しましょう。
厚さ約2cmのステーキを焼く手順
キッコーマンの「焼いては休ませる」方法を参考にした、フライパンでの焼き方です。強火は焼き色をつけるために短く使い、その後は休ませながら中心へ熱を伝えることを意識します。
用意するもの
- 牛肉(厚さ約2cmのステーキ用):1〜2枚
- 塩:肉の重さの0.2〜0.3%を目安に
- オリーブオイルや米油:フライパンの底に行き渡る量
- トング、食品用温度計
焼く順番
- フライパンを温める。強火調理に対応したフライパンに油を入れ、しっかり温めます。フッ素樹脂加工など、強火や空だきが禁止されている製品は取扱説明書の火加減を優先してください。
- 片面を短時間焼く。肉に塩を振り、強火で約30秒焼いて表面に焼き色をつけます。
- 裏面も焼く。返す直前に反対側にも塩を振り、裏面も約30秒焼きます。脂身が厚い場合は、肉をトングで立て、弱火で脂身の側面も約30秒焼きます。
- いったん休ませる。肉を清潔な皿などに取り出し、コンロのそばなど温かい場所で2〜3分置きます。熱を表面から中心にゆっくり伝えるための時間です。
- 必要に応じてもう一度焼く。再びフライパンに戻して表裏を短く焼き、取り出して休ませます。これを繰り返しながら中心温度を確認し、十分に火を通します。
キッコーマンの解説では、ミディアムレアに仕上げる場合はこの動きを3〜4回ほど繰り返しています。ただし、この回数だけで食中毒を防ぐための加熱ができたとは判断できません。肉の厚さや火力で中心温度は変わるので、下記の加熱確認を優先してください。
なお、表面だけを焦がして中まで火が入らないときは、強火のまま加熱せず、火を弱めて中心へ熱を伝えます。フライパンやコンロの種類に応じて調整しましょう。
薄切り牛肉は中火で広げ、焼きすぎない
薄切り肉をステーキ用の厚い肉と同じように長く焼くと、火が通りすぎてかたくなります。キッコーマンの薄切り牛肉のレシピでは、牛肉150gとサラダ油大さじ1/2を使い、中火で肉を広げて焼き、火が通ったらたれを加えてからめる手順を紹介しています。
- フライパンにサラダ油大さじ1/2を入れ、中火で熱します。
- 牛薄切り肉150gを重ならないように広げ、火が通るまで焼きます。
- 好みのたれを加え、全体にさっとからめて仕上げます。たれの量は製品の表示や塩分に合わせて調整します。
肉の厚さが薄いほど加熱時間は短くなります。野菜も炒めるときは、肉を加熱しすぎないよう野菜を先に炒めるなど、具材に合わせて加える順番を工夫しましょう。
筋が多い牛肉は焼き方だけでなく料理を変える
牛すね肉や肩のように筋が多い部位は、フライパンで短時間焼いてもかみごたえが残りやすい肉です。こうした肉は、水分を加えて長く煮込み、筋に含まれるコラーゲンをやわらかくする料理のほうが向いています。
日本食肉消費総合センターによると、コラーゲンは加熱でいったん縮みますが、煮込みによってゼラチン状になり、肉がほぐれやすくなります。ステーキの焼き時間を延ばすことと、煮込んでやわらかくすることは別の調理方法です。
表面の焼き色だけで安全な加熱を判断しない
ステーキに焼き色がついていても、中心が十分に加熱されていないことがあります。家庭で食中毒を防ぐための加熱の目安は、中心温度75℃で1分間以上です。食品用温度計を肉の最も厚い部分の中心に差して確認してください。焼き時間だけで判断しないことが大切です。
特に、ひき肉や成形肉、筋や繊維を細かく切断する加工をした肉などは、表面の細菌が内部に入り込む場合があります。中心まで十分に加熱してください。生の肉に触れたトング・箸と、焼けた肉を盛りつける道具も分けて使いましょう。
やわらかく仕上げたいときも、加熱不足のまま食べる方法は避け、肉の部位・厚さ・火加減を工夫して焼きましょう。