いただきものを断りたいときはどうする?角が立ちにくい伝え方
いただきものを断りたいときは、まず相手の心遣いにお礼を伝え、受け取れない事情を短く説明して、丁寧にはっきり辞退するのが基本です。「せっかくですが、今回は遠慮させてください。お気持ちはとてもうれしいです」のように伝えましょう。今だけ受け取れないのか、今後も贈り物を控えてほしいのかは、分けて伝えることが大切です。すでに届いた品物は、今回は受け取って次回から辞退する方法と、事情により返送する方法があります。
断るときは「感謝・事情・辞退」の順に伝える
贈り物を断ること自体が、必ずしも失礼になるわけではありません。相手は喜んでもらおうと思って用意しているため、品物の良し悪しを先に伝えると、気持ちを否定されたように受け取られることがあります。
まず「選んでくださってありがとうございます」と伝え、次に「置く場所がなくて」「事情があって受け取れなくて」など、必要な範囲だけ理由を話します。そのうえで「申し訳ありませんが、今回は遠慮させてください」と意思を伝えましょう。
ゆうちょ財団の手紙文例や、小学館の贈答マナー解説でも、感謝を示したうえで事情を説明し、受け取れないことを伝えるという流れが紹介されています。家庭の事情や金銭面など、話したくない詳細まで説明する必要はありません。
「今回だけ断る」と「今後も辞退する」は分けて考える
同じ「遠慮します」でも、今の品物を受け取れない場合と、毎年届く贈り物をやめてほしい場合では伝え方が異なります。
| 状況 | 伝えたい内容 | 言い方の例 |
|---|---|---|
| 今回の品物だけ断る | 今回は受け取れない | 今回は遠慮させてください |
| 高価な品物を断る | 負担になる品物は受け取れない | こんなに高価なものはいただけません |
| 今後の贈り物を辞退する | これからは贈らないでほしい | 今後はどうぞお気遣いなさらないでください |
| 仕事上、受領できない | 規定により受け取れない | 社内規定により受け取ることができません |
今後は贈り物を控えてほしいのに「今回はちょっと」とだけ言うと、次の機会にまた贈ってもよいと思われるかもしれません。関係を続けたい相手には、「これからもお付き合いは変わらずお願いします」と添えると、品物だけを辞退したい気持ちが伝わります。
相手が品物を準備する前なら、早めに伝える
誕生日やお祝いなどで「何か贈りたい」と申し出があった場合は、品物を購入する前に断る方が、相手の負担も少なくなります。「気にかけてくれてありがとう。今回は贈り物なしで、会って話せるだけで十分うれしいよ」などと伝えられます。
親しい相手が何かしたいと言ってくれるなら、品物の代わりに一緒に過ごす時間を提案する方法もあります。ただし、代わりの贈り物や食事を求めなければならないわけではありません。相手の申し出そのものに感謝を伝えましょう。
その場で差し出されたときは、短く断る
相手がすでに手に持って差し出してくれた場合は、長い説明よりも、落ち着いて感謝と辞退を伝えます。例えば「わざわざありがとうございます。ただ、こちらの事情で受け取れないので、申し訳ありませんが、お持ち帰りいただけますか」と言う方法があります。
一度断っても相手が「遠慮しないで」とすすめてくることがあります。受け取れない理由が変わらないなら、何度も言い訳を増やさず、同じ意思を丁寧に伝えることが大切です。「本当にお気持ちだけで十分です。今回は受け取れません」と繰り返してかまいません。
ただし、品物を一度受け取ってしまった場合でも、家庭の事情などで持ち帰ってもらう必要があれば、理由を説明して相談しましょう。
好みに合わない・置き場所がない・同じ物を持っている場合
使わない品物だからといって、「趣味ではない」「いらないものです」と品物の評価をそのまま伝える必要はありません。相手の気持ちを尊重しながら、自分の状況を説明すると角が立ちにくくなります。
- 置き場所がない:「気にかけてくれてありがとう。今は収納する場所がなくて、せっかくですが遠慮させてください」
- 同じ用途のものがある:「とてもうれしいのですが、同じ用途のものを今使っていて、十分間に合っているんです」
- 高価な品物:「お気持ちはありがたいのですが、こんなに高価なものはいただけません。どうぞお気遣いなく」
小さな好意を毎回断るかどうかは、相手との関係や状況次第です。一方、負担が大きい品物は、無理に受け取って後で困るよりも、早めに事情を話す方が分かりやすいでしょう。
食物アレルギーや食べられない食品は無理に受け取らない
食品にアレルギーがある場合は、相手への気遣いよりも、食べないことを優先しましょう。消費者庁は、食物アレルギーによる健康被害を防ぐため、容器包装された加工食品に特定原材料を含む旨の表示を義務付けています。
例えば「ありがとうございます。ただ、家族に食物アレルギーがあって、この食品は食べられないんです。申し訳ありませんが、お気持ちだけいただきます」と伝えます。事情を話して断ることは、品物を否定することとは違います。
アレルギーでない場合も、食事制限や飲酒をしない事情があるなら、無理に受け取る必要はありません。実際には食べられないのに「おいしくいただきます」と約束するより、必要な理由を簡潔に伝えましょう。
親族・友人・目上の方・取引先への断り方の文例
親族へ、今後は贈答を控えてほしい場合
「いつも気にかけてくれてありがとう。お返しのことも含めて、お互いに負担のない付き合いにしたいので、これからは品物のやり取りを控えませんか。今までどおり会ったり話したりできたらうれしいです」
友人へ、高価なプレゼントを辞退する場合
「選んでくれた気持ちは本当にうれしいよ。でも、こんなに高価なものは気を遣ってしまうから、今回は遠慮させてね。お祝いの言葉だけで十分うれしいよ」
恩師や目上の方へ、丁寧に断る場合
「このたびは温かいお心遣いをいただき、誠にありがとうございます。大変ありがたく存じますが、私どもの事情により、今回はお品物を遠慮させていただきたく存じます。失礼をお許しください。今後ともどうぞよろしくお願いいたします」
取引先へ、会社の規定で受け取れない場合
「平素よりお世話になっております。このたびはご丁寧なお心遣いをいただき、誠にありがとうございます。恐縮ですが、弊社では社内規定により贈答品を受け取ることができません。せっかくのお申し出にお応えできず申し訳ございませんが、何卒ご理解くださいますようお願いいたします」
電話や対面なら短く、メールや手紙なら少し改まった文章にできます。どの例も、その事情が実際にあるときに使い、断るために嘘の理由を作る必要はありません。
仕事で贈答品を受け取れない場合は、社内の決まりを優先
取引先などから会社宛てに贈り物が届いた場合は、個人の判断で持ち帰ったり、使ったりせず、担当部署や上司に受け取りのルールを確認します。会社の方針で受領が禁止されているなら、今回だけ例外として受け取れるとは限りません。
国家公務員については、人事院の倫理規程で職務上の利害関係者から金銭・物品の贈与を受けることが原則禁止されています。公務員だから私的な相手からの贈り物まで一律に禁止、というわけではありませんが、職務に関係する相手からの品物には十分注意が必要です。
取引先へは、会社の規定で受け取れないことを説明し、必要なら返送の手順も知らせます。相手への感謝は伝えつつ、決まりを守ることを優先しましょう。
品物が配送されてきたときはどうする?
すでに贈り物が届いた場合は、今回だけ受け取って次回から辞退する方法と、今回は受け取らず返送する方法を分けて考えます。お中元やお歳暮などでは、今回のお礼を伝えたうえで、「今後はどうぞお気遣いなさいませんように」と手紙を添える方法が紹介されています。
仕事上の規定などで受け取れない場合は、開封や使用をせず、会社の手順に従って対応します。返送するときは、理由も知らせず品物だけ送り返すのではなく、相手の心遣いへのお礼と受け取れない事情を記した手紙を添えると丁寧です。ゆうちょ財団や小学館の文例でも、感謝と事情を説明する方法が紹介されています。
自分で返送する場合は、包装を傷めないように外側を包み、送り先や配送方法を確認します。食品のように保存条件があるものは、状態や配達の可否を配送会社へ確認しましょう。受け取り拒否や返送の扱いは送り方によって違うため、迷う場合は相手または配送会社に相談します。
何度断っても贈られるときは、意思を明確にする
最初は遠慮がちに伝えていた場合も、繰り返し贈られて負担になっているなら、「今後は贈り物を受け取らないことにしています。どうか送らないでください」と、今後の受け取りを辞退する意思を明確に伝えましょう。
電話で伝わりにくければ、メールや手紙に残す方法もあります。送り主が特定できず不安がある場合や、受け取りをめぐるトラブルがある場合は、一人で無理に対応せず、配送会社や関係する窓口へ相談してください。
品物を断ることと、その人との付き合いを続けることは別に考えられます。今後も交流したい相手には、その気持ちを短く添えましょう。受け取れない品物を無理に受け取る必要はありません。