大皿料理を自分の箸で取っていい?取り箸がないときのマナー
大皿料理を、自分が食事に使っている箸で直接取ることを「直箸(じかばし)」といいます。取り箸が用意されているときは、それを使って自分の取り皿に分けるのが基本です。
取り箸が見当たらないときも、すぐに直箸にするのではなく、店の人に頼んだり、清潔な箸を一膳用意したりしましょう。どうしても用意できない場合は、同席者に一声かけてから取る方法があります。
大皿料理を自分の箸で取ってもいい?
直箸は、和食の食事作法では避けたい箸の使い方とされています。自分の箸は食べ物を口へ運ぶために使うので、そのまま共有の料理に触れることを気にする人がいるためです。
また、大皿には自分だけでなく、ほかの人が食べる料理も残っています。料理を取るたびに自分の箸を入れないことは、同席者への気配りにもなります。
ただし、直箸がどんな場面でも許されないわけではありません。箸メーカーの兵左衛門も、場合によっては「直箸で」とすすめられることがあると紹介しています。家族や親しい人同士でも、考え方は人それぞれです。自分が気にならないからといって、相手も同じとは限りません。
初めて会う人との食事や仕事の会食など、相手の考え方が分からない席では、取り箸を使うと迷わずに済みます。
取り箸がないときはどうする?
取り箸がないことに気づいたら、次の順番で対応すると自然です。
- 料理に添えられた道具を確認する。取り箸のほか、料理に合ったトング、取り分け用のスプーン、お玉などがないか見ます。
- 取り分ける道具を追加する。飲食店なら「取り箸をお願いできますか」と伝えます。家庭なら、洗ってある予備の箸や未使用の割り箸を取り分け専用にできます。
- 追加が難しいときは一声かける。「取り箸がないので、自分の箸で取っても大丈夫ですか」と確認します。同席者が了承した場合に、自分の分を取ります。
小笠原流礼法宗家の小笠原敬承斎さんも、取り箸がなければ新たに一膳用意してもらい、それが難しい場合は断ってから直箸で取る方法を紹介しています。
誰かが気にしている様子なら、直箸を無理にすすめないことが大切です。先に取り分け用の道具を探すほうが、全員が気持ちよく食事できます。
箸を逆さにすれば取り箸の代わりになる?
箸の持ち手側を使って料理を取ることは「逆さ箸」や「返し箸」と呼ばれます。口をつけていない側ならよさそうに思えますが、取り箸の代わりとしてはおすすめできません。
箸の持ち手側は、食事中に手で触れている部分です。持ち手を料理につければ清潔になるというわけではありません。また、逆さ箸も作法上は避けたい箸使いとして紹介されています。
取り箸がなくても、箸をひっくり返す前に、別の清潔な箸や取り分け道具を用意できないか確かめましょう。
大皿から取り分けるときの基本
取り箸を使う場合も、いくつかの点に気をつけると、次の人が取りやすくなります。
- 自分の取り皿に移して食べる。大皿を持ち上げたり、共用の大皿から直接食べ続けたりせず、食べる分を自分の皿に分けます。
- 取り箸を食事用の箸として使わない。取り箸を口へ運ばず、共用の料理を取り分けるためだけに使います。
- 使ったら戻す。ほかの人が手を伸ばしやすい位置に置き、箸先を相手に向けないようにします。
- 人の分を取るときは先に聞く。「お取りしましょうか」と声をかけ、相手が必要な分だけ取り皿に盛ります。
江東区も、大皿や盛り皿はテーブルに置き、料理を取り分けてから自分の器で食べるよう案内しています。取り箸と食事用の箸を分けることは、清潔に食べるためにも役立ちます。
直箸をすすめられたらどうする?
親しい人から「直箸でいいよ」と言われることもあります。その場にいる人たちが了承していれば、直箸で取るという選択もあります。反対に、自分が気になるなら「取り箸を一膳用意してもいい?」と穏やかに伝えれば十分です。
大切なのは、直箸をする人を責めたり、反対に嫌がる人へ直箸を押しつけたりしないことです。迷ったときは取り箸を用意する。それだけで、さまざまな人と同じ料理を楽しみやすくなります。