十五夜にすすきを飾るのはなぜ?稲穂との関係
十五夜にすすきを飾るのは、穂の形が稲穂に似ているため、秋の実りへの感謝や豊作への願いを表すと考えられてきたからです。稲穂の代わりにすすきを供えるようになったという説があります。また、すすきを神様の「依り代(よりしろ)」としたり、魔除けになると考えたりする習わしもあります。こうした意味には地域や家庭による違いがあります。
なぜ稲穂の代わりにすすきを飾るの?
十五夜は、昔の暦で8月15日の月を眺めるお月見です。秋に実る米や野菜、果物に感謝し、これからの豊かな実りを願う行事として親しまれてきました。稲穂は、私たちが食べる米が実る部分なので、収穫を表すものとしてふさわしいと考えられます。
すすきは、細い茎の先に長く広がる穂をつけます。その姿が稲穂に似ていることから、米の実りを象徴するものとして飾られるようになったという説明があります。農林水産省東北農政局も、お月見のすすきを稲の穂に見立てる説を紹介しています。
また、十五夜の時期は地域や稲の品種によっては収穫前で、供える稲穂を用意しにくいことがあります。そのため、身近で穂をつけるすすきを代わりに使ったとも伝えられています。稲穂との関係は、このように収穫への願いと結びついた由来として語られているものです。
すすきと稲は同じ仲間なの?
すすきと稲は、どちらもイネ科の植物です。ただし、稲は米を収穫するために育てる作物で、すすきは山野や草地などに生える植物です。似ているのは、茎の先に穂をつける姿であって、すすきの穂から食用の米が取れるという意味ではありません。
国土交通省の太田川河川事務所によると、すすきは8~10月に穂をつけます。穂には細かな花や毛が集まり、秋にはふわっとした姿になります。秋の七草に数えられる「尾花(おばな)」も、すすきの別名です。月見の花として知られるのには、秋を感じさせる植物であることも関係しています。
神様の「依り代」とはどういう意味?
すすきには、月の神様を迎えるための「依り代」という意味も伝えられています。依り代とは、神様が宿ったり、よりついたりする場所になると考えられたものです。草木などをその目印として供える習わしがあります。
稲穂を模したすすきを月に向けて供え、作物がよく実るように願うという考え方です。「私の根っこプロジェクト」の年中行事解説でも、すすきは月の神様の依り代とされ、稲穂に似ているために供えられたと紹介されています。
これはお月見に込められた信仰上の意味です。すすきを飾ることで、神様や秋の実りに感謝する気持ちを表してきたと理解すると分かりやすいでしょう。
すすきに魔除けの意味もあるの?
すすきには、災いを遠ざける魔除けの力があるという言い伝えもあります。お月見のあと、供えたすすきを軒先につるしたり、家の周りに飾ったりする風習が紹介されています。
「魔除け」は昔からの願いや伝承を表す言葉で、すすきを飾れば災いを確実に防げるという意味ではありません。稲穂の象徴や神様の依り代としての意味とともに、家族や作物の無事を願う気持ちが重ねられてきたものです。
十五夜のすすきは何本、どこに飾る?
すすきの本数や置き方に、全国共通の決まりはありません。3本や5本など奇数で飾る例もありますが、手に入る本数と花瓶の大きさに合わせて整えましょう。少ない本数でも、穂が見えるように生ければ秋らしい飾りになります。
飾る場所は、月を眺める窓辺や縁側、室内の小さな台などです。すすきを安定した花瓶に生け、そばに月見団子や里芋、季節の果物などを供える形が知られています。北海道農政事務所は、すすきや萩などの秋草と、トウキビやぶどうなどの収穫物を供える例を紹介しています。
すすきを自分で採る場合は、土地の所有者や公園などの採取ルールを確認してください。すすきの葉の縁は鋭く、手が切れることがあります。扱うときは手袋を使い、無理に引き抜かず、切る際は周囲にも気をつけましょう。
すすきが手に入らなければ、季節の草花や収穫物を飾ってお月見を楽しむ方法もあります。大切なのは決められた本数をそろえることより、秋の自然や実りに目を向けることです。