冬至にゆず湯に入るのはなぜ?昔から伝わる意味

季節・年中行事
ソボチエ編集部

冬至にゆず湯に入るのは、ゆずの香りで厄を払い、身を清めて、これからの健康と幸せを願うという昔ながらの習わしがあるためです。冬至は一年で昼が最も短くなる日で、そこから日が少しずつ長くなることを新しい始まりとして大切にしてきました。「冬至」と「湯治(とうじ)」、「ゆず」と「融通(ゆうずう)」をかけた言葉遊びも、ゆず湯にまつわる由来の一説です。

冬至のゆず湯にはどんな願いが込められている?

冬至は、北半球では一年で最も昼が短く、夜が長い日です。翌日からは昼が少しずつ長くなるため、昔の人は太陽の力が再び強くなる節目と考えました。この考え方を表す言葉に「一陽来復(いちようらいふく)」があります。悪い時期を過ぎて、よい方向へ向かうという意味にもつながる言葉です。

京都市の「京の年中行事」では、冬至を弱まった力がよみがえる節目とし、無病息災を願ったり、邪気を払ったりする習わしが生まれたと説明しています。ゆず湯は、そうした願いを込めた冬至の行事の一つです。

昔から、香りの強い植物には災いを遠ざける力があると考えられていました。冬に香り豊かな実をつけるゆずを湯に浮かべ、体を洗い清める「みそぎ」に重ねて、一年の無事を願ったのです。ゆず湯の厄払いは伝統的な信仰や縁起の意味であり、実際に災いが起きなくなるという保証ではありません。

「冬至=湯治」「ゆず=融通」という語呂合わせ

冬至のゆず湯には、江戸時代の人々が好んだとされる言葉遊びも伝わっています。

  • 冬至(とうじ)と湯治(とうじ):「湯治」は温泉などに入って体を休めることを表す言葉です。同じ読み方の「冬至」にお風呂を結びつけたといわれます。
  • ゆずと融通(ゆうずう):「融通が利く」は、物事に柔軟に対応できたり、都合よく運んだりすること。ゆず湯に入って、これからの暮らしが順調に進むよう願ったという説です。

在スロバキア日本国大使館や横浜の学校食育財団も、こうした語呂合わせをゆず湯の由来として紹介しています。ただし、これが唯一の始まりだと確定しているわけではありません。香りで邪気を払うという信仰と、言葉の縁起のよさが重なって伝えられてきたと考えると分かりやすいでしょう。

ゆず湯はいつごろから広まったの?

冬至のゆず湯は、江戸時代にはすでに行われていました。町田市立中央図書館の調査では、江戸の年中行事を記した『東都歳時記』(1838年)に、冬至のゆず湯についての記述があることを確認しています。

同図書館の調査は、ゆず湯の正確な起源は明らかではないとしながらも、江戸時代の習慣として記録されていることを示しています。東京都浴場組合も、江戸時代ごろから冬至にゆずを湯船へ浮かべる風習があり、東京の銭湯では今も冬至の行事として続けていると案内しています。

家にお風呂がない人も多かった時代、銭湯で季節を感じられるゆず湯は、冬の楽しみの一つだったのでしょう。現在も家庭や銭湯で受け継がれています。

「ゆず湯に入ると風邪をひかない」という言い伝えは本当?

「冬至にゆず湯に入ると一年間風邪をひかない」という言い伝えもあります。東京都浴場組合や図書館の調査資料に見られる、昔からの健康を願う言葉です。

ただし、一度ゆず湯に入れば風邪を予防できると証明されているわけではありません。ゆずのよい香りを楽しみながら温かいお風呂でくつろぎ、寒い季節を元気に過ごそうとする願いとして受け止めるのがよいでしょう。

ゆずは冬に旬を迎える香りの強い果物です。果実をお湯に浮かべると浴室にさわやかな香りが広がり、いつもの入浴でも季節を感じられます。

ゆず湯はいつ入る?家での簡単な楽しみ方

ゆず湯に入るのは、冬至の日が一般的です。2026年の冬至は12月22日(火)。冬至の日付は年によって12月21日や22日になるため、その年の暦を確認しましょう。

家庭では、次のようにゆずを丸ごと浮かべると簡単です。

  1. ゆずを洗う:表面の汚れを洗い落とし、落ちやすいヘタなどを取り除きます。
  2. 湯船に浮かべる:まずはゆずを1~2個、切らずにそのまま浮かべます。数に決まりはないので、香りや肌の様子に合わせて調整します。
  3. 入浴後は取り出す:ゆずや落ちた果肉などを取り除いてから排水し、浴槽を洗います。

切ったゆずを布袋などに入れる方法もありますが、切ると果汁や皮の成分がお湯に出やすくなります。初めてのときや肌が弱い場合は、丸ごと使う方法から試すとよいでしょう。ゆずを浮かべる数や入浴する時刻に、全国共通の細かい決まりはありません。

肌への刺激と浴槽の扱いに注意する

ゆずの皮には香りの成分が含まれ、人によっては肌がピリピリしたり、かゆくなったりすることがあります。とくに切ったゆずを使ったり、湯の中で強く搾ったりすると刺激が強まる場合があります。肌に傷や湿疹がある場合や、小さな子どもが入る場合は無理をせず、刺激を感じたら入浴をやめて洗い流してください。

また、東京ガスは、ゆずの皮や果肉などの固形物が追いだき配管に入ると、故障の原因になるおそれがあると説明しています。循環・追いだき機能がある浴槽では、給湯器の取扱説明書を確認し、果皮や種を配管に流さないよう注意しましょう。

ゆず湯は、ゆずをたくさん入れることよりも、その香りを楽しみ、冬至に新しい季節への願いを込めることが大切です。

参考資料