ひな人形の男雛・女雛は左右どちら?地域や飾り方による違い
ひな人形の男雛(おびな)と女雛(めびな)は、向かって左に男雛・右に女雛を置く関東式と、向かって右に男雛・左に女雛を置く京都の伝統的な並べ方があります。どちらも間違いではありません。購入した人形の飾り方や、家庭で大切にしてきた習わしに合わせて選びましょう。
男雛と女雛はどちらが右?正面から見た並び方
まず大切なのは、「右」「左」をどこから見るかです。ここでは、飾りの正面に立って、ひな人形と向かい合ったときの左右で説明します。
- 関東式:見る人から向かって左に男雛、右に女雛を置きます。現在、全国で広く見られる並び方です。
- 京雛の伝統的な飾り方:見る人から向かって右に男雛、左に女雛を置きます。京都を中心に受け継がれてきました。
日本人形協会と京都市の文化資料は、この二つの並べ方を紹介しています。関西全域が必ず京雛の並びになるわけではなく、関西の一部や昔ながらのしきたりを大切にする家庭で見られる形です。
京都では男雛が向かって右なのは「左上位」の考え方から
昔の日本の宮中には、「左上位(さじょうい)」という考え方がありました。これは、並んでいる本人から見て左側を、地位の高い人が座る場所とするしきたりです。
ここでいう「本人から見た左」は、ひな人形を正面から見る私たちにとっては右になります。そのため、天皇と皇后の姿を表した内裏雛(だいりびな)は、昔ながらの飾り方では男雛が向かって右、女雛が向かって左です。
京都市の「京都をつなぐ無形文化遺産」でも、京雛の並びは宮中の天皇・皇后の並び方を取り入れたものと説明しています。左大臣が右大臣よりも上位とされてきたことも、「左上位」の考え方を知る手掛かりです。
関東で男雛が向かって左になった理由
明治時代以降、日本には西洋式の礼法が取り入れられ、天皇と皇后が並ぶ位置も、昔の宮中のしきたりとは異なる形になりました。天皇が皇后の右側、つまり正面から見て左側に立つ並び方です。
日本人形協会によると、1928年(昭和3年)の昭和天皇の即位式をきっかけに、当時の東京の人形組合が新しい並べ方を提唱し、関東を中心に広まったとされています。
こうして、男雛を向かって左に置く関東式と、男雛を向かって右に置く伝統的な京雛の並べ方が受け継がれてきました。京都島津も、左右どちらに飾っても間違いではないと案内しています。
京雛と関東雛、どちらの並び方を選べばいい?
今住んでいる地域だけで、並び方を決める必要はありません。京都の人形店で作られたものや、家族が受け継いできたひな人形など、飾る品物と家庭の習わしによって選べます。
石川県金沢市の人形店「人形の堀川」では、京人形師の作品は男雛を向かって右、ほかの作品は男雛を向かって左にして展示していると説明しています。このように、同じ店や同じ地域でも、人形の作りや伝統に合わせて置き方が変わることがあります。
家にあるひな人形なら、まず購入時に付いていた飾り方の説明書や、商品・箱の写真を確認しましょう。昔から家族が飾ってきた並び方が分かれば、それを続けるのもよい方法です。親族と並べ方が違っても、どちらかが間違いということではありません。
親王飾りや七段飾りでも左右は同じ?
男雛と女雛の一対だけを飾る「親王飾り」も、たくさんの人形を並べる七段飾りも、最上段の男女の並び方には関東式と京雛の伝統的な形があります。飾りの段数だけで左右が決まるわけではありません。
ただし、三人官女や随身(ずいじん)など、下の段の人形には、それぞれの持ち物や役割に合わせた配置があります。男雛と女雛を左右入れ替えるからといって、すべての人形や道具をまとめて逆にするわけではありません。
日本人形協会は、三人官女・五人囃子・随身などの置き方をそれぞれ説明しています。段飾りを組み立てる際は、付属の説明書や購入店の飾り付け見本を確認すると安心です。
左右を間違えずに飾るための確認ポイント
- 人形の正面に立ち、自分から見た右と左を基準にします。
- 関東式なら「左が男雛・右が女雛」、京雛の伝統的な形なら「右が男雛・左が女雛」と確認します。
- 購入時の見本写真や説明書があれば、その人形に合った位置を優先します。
- 人形や小道具は、転倒しない安定した台に、無理のない姿勢で置きます。
男雛・女雛の並びが二通りあるのは、日本の昔の礼法と、西洋の影響を受けた新しい礼法の両方が残っているためです。左右に迷ったら、「向かって左が男雛」の関東式と「向かって右が男雛」の京雛を思い出し、家庭や人形に合う形でひな祭りを楽しみましょう。