八十八夜とはいつ?茶摘みと関係が深い理由
八十八夜(はちじゅうはちや)は、立春から数えて88日目のことで、毎年5月1日か2日ごろに当たります。昔から農作業の季節を知らせる目印とされてきました。特に茶摘みと結びつきが深いのは、このころに春の新しい茶の芽が育ち、その年最初の「一番茶」を摘む時期と重なるためです。2026年と2027年の八十八夜はいずれも5月2日です。
八十八夜はいつ?立春から88日目を数える
八十八夜は、暦の上で春が始まる「立春」を1日目として数えた88日目、つまり立春から87日後です。二十四節気そのものではなく、季節の変化を分かりやすく知らせる「雑節(ざっせつ)」の一つで、暦の上で夏が始まる「立夏」の少し前に当たります。
国立天文台の暦要項で確認できる日付は、次のとおりです。
- 2025年:5月1日(立春は2月3日)
- 2026年:5月2日(立春は2月4日)
- 2027年:5月2日(立春は2月4日)
このように日付が変わるのは、立春の日付や、うるう年による暦の日数の違いが関係するためです。八十八夜は5月2日と覚えられることもありますが、毎年同じ日ではありません。
八十八夜が茶摘みと深く結びついた理由
茶の木は冬の間、成長をゆるめて休み、暖かい春になると新しい芽を伸ばします。八十八夜のころには新芽が育ち始める茶畑が多く、春の茶摘みが盛んになります。
農林水産省が紹介する静岡県掛川市の茶園では、4月中下旬から5月上旬ごろが一番茶の摘み取りの最盛期です。この時期の新芽はやわらかく、爽やかな香りや風味を楽しめるお茶になります。
茶摘みの方法としては、枝の先の芽と、その下についた若い葉2枚を摘む「一芯二葉摘み(いっしんにようづみ)」が知られています。実際の茶畑では、葉の育ち具合を見ながら手や機械で摘み取ります。
文部省唱歌の「茶摘(ちゃつみ)」にも八十八夜が登場します。歌で知られるようになったのも、新緑の茶畑と茶摘みの季節を表す日だからです。
八十八夜のお茶と「新茶」「一番茶」の関係
その年、最初に育った茶の新芽を摘み取って作るお茶を「一番茶」と呼び、一般に「新茶」としても親しまれています。冬を越して春に育ったやわらかな葉を使うため、新茶ならではの香りや味わいを楽しめます。
一番茶を摘んだあと、再び伸びた芽を摘んで作るものは「二番茶」です。農林水産省によると、静岡県掛川市の例では二番茶の摘み取りは6月中旬から7月上旬ごろに行われます。
ただし、「新茶」と表示されているお茶が必ず八十八夜の当日に摘まれたものとは限りません。八十八夜は春の茶摘みを象徴する日であり、収穫日を一日に限定する決まりではないのです。
茶摘みの時期は産地や天候によって変わる
日本の茶畑すべてで、八十八夜に茶摘みが始まるわけではありません。茶の新芽が伸びる速さは気温や品種、栽培する場所によって違うためです。
たとえば農林水産省は、温暖な鹿児島県では3月末から「走り新茶」と呼ばれる早い時期の新茶が出ることを紹介しています。一方、京都の宇治茶では、一番茶の新芽を4月下旬から5月下旬にかけて摘み取るとされています。
同じ地域でも、春の寒さが長引けば芽の成長が遅れることがあります。実際に茶摘みをする日は、暦だけでなく茶葉の状態を見て決めるため、八十八夜より前に摘む産地も、あとに摘む産地もあります。
「八十八夜の別れ霜」は何を知らせる言葉?
昔から「八十八夜の別れ霜」という言葉があります。これは、八十八夜のころが遅い霜の降りる時期の終わりに当たるという、季節の目安を表したものです。
しかし、八十八夜を過ぎたら必ず霜が降りなくなるという意味ではありません。国立天文台も、八十八夜を、春の終わりに降りる「晩霜(ばんそう)」に注意するための目印として説明しています。
茶の新芽は冷え込みや霜の影響を受けやすいため、生産者はこの時期の気温や天気を確かめながら栽培や収穫を進めます。八十八夜は茶摘みの季節であると同時に、農作物を守るために天候へ目を向ける時期でもあります。
八十八夜に摘んだお茶が縁起物とされるのはなぜ?
八十八夜に摘んだ新茶は、昔から縁起のよいものとして親しまれてきました。農林水産省が紹介する宇治茶の文化には、「この日に摘んだお茶を飲むと長生きする」と伝えられてきたことや、「八十八夜茶摘みの集い」という行事があります。
静岡市の清沢地区には、八十八夜の夜に新茶を神社へ供え、茶の無事な成長と収穫を願う「茶日待(ちゃひまち)」という行事も伝わっています。こうした風習には、春に得られる最初の収穫を喜び、豊かな実りを願う気持ちが表れています。
「八十八夜のお茶で長生きできる」というのは縁起を担ぐ言い伝えであり、飲むだけで長寿が約束されるわけではありません。八十八夜の意味を知りながら新茶を味わうと、春から初夏へ移る季節をより身近に感じられるでしょう。