桜餅の関東風と関西風は何が違う?長命寺と道明寺の違い
桜餅には、大きく分けて関東風の「長命寺(ちょうめいじ)」と関西風の「道明寺(どうみょうじ)」があります。いちばんの違いは、あんこを包む生地です。長命寺は小麦粉を使って薄く焼いた皮であんこを巻き、道明寺はもち米から作る「道明寺粉」の生地であんこを包みます。どちらも塩漬けした桜の葉を使う、春を代表する和菓子です。
関東風と関西風は材料・形・食感が違う
二つの桜餅は、外側の生地を見ると区別しやすくなります。
- 関東風の長命寺:小麦粉を水で溶いて薄く焼いた皮を使います。皮を二つ折りにしたり、筒のように巻いたりしてあんこを包みます。表面はなめらかで、薄い皮のやわらかな食感が特徴です。
- 関西風の道明寺:もち米から作った道明寺粉を使います。あんこを内側に包んで丸形や俵形にするものが多く、もち米の粒が残る、つぶつぶとしたもちもちの食感が特徴です。
関東風はあんこを薄い皮で「巻く」、関西風はもち米の生地で「包む」と覚えると、見た目の違いも分かりやすくなります。ただし、細かな形や色はお店によって違います。
関東風「長命寺」は薄い焼き皮を使う
長命寺の桜餅は、小麦粉などを水で溶いた生地を、平らな鍋や鉄板に薄く広げて焼きます。できた皮で、棒状にしたあんこを巻いたり、二つ折りにして挟んだりします。
伝統的な長命寺では、こしあんを使い、塩漬けした桜の葉を二、三枚巻く形が知られています。葉を外すと、薄い皮とあんこが見えるのも特徴です。
関西風「道明寺」はもち米の粒が残る
道明寺の桜餅に使う「道明寺粉」は、もち米を蒸し、乾燥させてから粗くひいたものです。普通の小麦粉のように細かくさらさらした粉ではなく、米の粒が残っているため、水分を加えて蒸したり煮たりすると、つぶつぶした生地になります。
この生地を広げてあんこを包み、丸形や俵形に整え、塩漬けした桜の葉で巻きます。農林水産省が紹介する大阪府の桜餅も、この道明寺粉を使った作り方です。
粒が少し残るので、かむともち米らしい弾力を感じられます。あんこには、こしあんを使うものも、つぶあんを使うものもあります。選ぶときは、あんこの種類より生地に注目すると区別しやすいでしょう。
「長命寺」と「道明寺」の名前はどう生まれた?
関東風の長命寺は、江戸時代の1717年(享保2年)に始まったと伝えられています。長命寺の門前で寺の仕事をしていた山本新六が、隅田川の土手にある桜の葉を塩漬けにして餅を包み、売り出したという話です。桜の名所を訪れた花見客に喜ばれ、江戸の名物になりました。
一方、「道明寺」という名前は、桜餅の生地に使う道明寺粉から来ています。この粉は、大阪府藤井寺市にある道明寺で、もち米を蒸して干した保存食として作られたものに由来します。保存できる米の加工品が、のちに和菓子の材料として使われるようになりました。
つまり、長命寺は桜餅を売り出した場所の名前、道明寺は材料の名前に由来する呼び方です。道明寺粉の歴史が古いからといって、現在の関西風桜餅がその時代にすでに作られていたという意味ではありません。国立国会図書館は、江戸時代後期に大坂でも桜餅の販売が始まったことを紹介しています。
桜の葉はなぜ巻く?食べてもいい?
二つの桜餅に共通するのが、塩漬けした桜の葉です。農林水産省によると、桜餅にはオオシマザクラの葉が多く使われます。葉を巻くと餅の乾燥を防ぎ、桜らしい香りと、ほんのりした塩味を加えられます。
桜餅に巻かれている食品用の塩漬けの葉は、食べても外してもかまいません。葉の香りと塩気も一緒に味わいたいならそのまま食べ、葉の食感が気になるなら外して食べられます。
関東では長命寺、関西では道明寺しか売っていない?
関東風と関西風という呼び方は、もともと親しまれてきた地域を表す目安です。全国和菓子協会によると、現在は関東・関西を問わず、焼き皮の桜餅と道明寺粉の桜餅の両方が販売されています。
桜餅は春、特にひな祭りや桜の季節に親しまれますが、販売する時期もお店によって異なります。店頭で「桜餅」とだけ書かれているときは、薄い焼き皮なのか、粒の残る道明寺粉の生地なのかを見れば、どちらの種類か分かりやすくなります。