初午とは何の日?稲荷神社との関係と食べ物

季節・年中行事
ソボチエ編集部

初午(はつうま)は、2月に入って最初の「午(うま)の日」に、稲荷神社で豊作や商売繁盛、家族の安全を願う行事です。京都の伏見稲荷大社に稲荷大神が初めて鎮座した日と伝えられ、全国の稲荷神社で「初午祭」が行われるようになりました。初午には、いなり寿司や油揚げ、地域によっては「しもつかれ」などをいただく風習があります。

初午はいつ?2月の最初の「午の日」

初午の日付は毎年変わります。「午」は、ねずみ・牛・虎などと並ぶ十二支の一つで、年だけでなく日にも当てはめられています。午の日は12日ごとに巡ってくるため、2月の何日が初午になるかは年によって違うのです。

例えば、2026年の初午は2月1日、2027年は2月8日です。2026年の初午大祭は京都の伏見稲荷大社でも2月1日に行われました。

2月の二度目の午の日を「二の午」、三度目を「三の午」と呼ぶこともあります。ただし、初午祭を必ず新暦2月の最初の午の日に行う神社ばかりではありません。埼玉県久喜市は、3月に月遅れで行う地域の例も紹介しています。参拝する場合は、各神社の開催日を確認しましょう。

なぜ初午は稲荷神社のお祭りなの?

初午と稲荷神社の関係には、京都の伏見稲荷大社に伝わる由来があります。社伝によると、和銅4年(711年)2月の初午の日に、稲荷大神が稲荷山の三つの峰に鎮座したとされています。これを記念して初午の日にお祭りを行うようになり、全国の稲荷神社にも広がりました。

ただし、伏見稲荷大社自身も、神社の成立を伝える最も古い記録には「711年」という年代が記されていないと説明しています。711年という年は、古い社伝に基づくもので、すべてが史料で確定した出来事として扱われるわけではありません。

また、午の日が選ばれた理由には、農業で馬が使われていたことと結び付ける説もあります。東京都神社庁は、稲荷の神さまが農業に関わることから、このような見方もあると紹介しています。

初午にはどんな願いを込めてお参りする?

稲荷神社では、食べ物や穀物をつかさどる神さまとして、宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)などをお祀りしています。稲荷信仰は、もともと米をはじめとする作物の豊かな実りを願うことと深く結び付いていました。

その後、農業だけでなく商売や仕事にも信仰が広がり、初午では次のような願いを込めてお参りする人がいます。

  • 五穀豊穣:米や野菜など、作物が豊かに実るように願う。
  • 商売繁盛:仕事や商いが順調に続くように願う。
  • 家内安全:家族が一年を無事に過ごせるように願う。

伏見稲荷大社では初午の日のお参りを「福詣(ふくまいり)」とも呼びます。参拝者が「しるしの杉」と呼ばれる杉の枝の縁起物を受ける習わしもあります。

初午にいなり寿司や油揚げを食べるのはなぜ?

初午の代表的な食べ物の一つが、甘辛く煮た油揚げにご飯を詰める「いなり寿司」です。稲荷神社でよく見かけるキツネが、油揚げを好むという言い伝えから、油揚げやいなり寿司をお供えする習わしが生まれたとされています。

ここで、キツネは稲荷神そのものではなく、神さまのお使いと考えられています。伏見稲荷大社も、稲荷大神とキツネは別であると案内しています。

いなり寿司の形には、地域による違いもあります。関東では米俵を思わせる俵型、関西ではキツネの耳や稲荷山を思わせる三角形がよく知られています。どちらも油揚げと米を使った、初午に親しまれる食べ物です。

初午に必ずいなり寿司を食べなければならないという決まりはありません。お供えの習わしがない家庭でも、行事の意味を知って食卓で味わえます。

京都の「畑菜」と栃木の「しもつかれ」も初午の食べ物

初午の行事食は、いなり寿司だけではありません。土地ごとに受け継がれてきた料理があります。

  • 京都の畑菜のからし和え:冬から春に出回る「畑菜(はたけな)」をゆで、からしやしょうゆで和えた料理です。京都府によると、初午に食べる風習があり、伏見稲荷大社の初午大祭にも奉納されています。
  • 栃木などの「しもつかれ」:大根やにんじん、大豆、鮭の頭、酒粕などを煮込んだ郷土料理です。農林水産省は、初午の日に稲荷さまへお供えする習わしを紹介しています。
  • 赤飯や豆腐:埼玉県久喜市の記録には、初午に「しもつかれ」とともに赤飯や豆腐、油揚げを供える例があります。

同じ初午でも、料理の材料や作り方は地域・家庭によって異なります。地元に昔から伝わる初午の食べ物があれば、その味を大切にするとよいでしょう。

初午の日には何をすればいい?

初午の日には、近くの稲荷神社にお参りして、日々の恵みに感謝し、一年の幸せや仕事の順調を願うのが昔ながらの過ごし方です。地域の神社で初午祭が行われる場合は、公式案内にある時間や参拝方法を確認して出かけましょう。

家で過ごすなら、いなり寿司を用意したり、地域の初午料理を食べたりするだけでも行事に親しめます。特別なお供えや料理をそろえる必要はありません。初午は、稲や食べ物の恵みに感謝し、家族や仕事の幸せを願ってきた春の年中行事です。

参考資料