盆棚・精霊棚とは?何を飾る場所なのかを解説
盆棚(ぼんだな)・精霊棚(しょうりょうだな)は、お盆の間、ご先祖様や亡くなった人を迎えるために設ける特別な飾り棚です。基本的に同じものを指し、位牌、花、提灯、精霊馬、季節の食べ物などを飾ります。仏壇の前に専用の棚を用意する家もあれば、小さな机を使う家もあります。飾るものや作り方は、地域や宗派によって異なります。
盆棚と精霊棚は同じもの?仏壇との違い
盆棚と精霊棚は、どちらもお盆にご先祖様を迎え、供養するための一時的な祭壇を指します。「精霊(しょうりょう)」は、ここでは亡くなった人やご先祖様の霊を表す言葉です。
普段から仏様をまつり、手を合わせる場所が仏壇なのに対し、盆棚はお盆の期間に合わせて特別にしつらえる場所です。浄土宗の『新纂浄土宗大辞典』でも、精霊棚は「盆棚」とも呼ばれ、設ける場所や飾り方は家や地域によって違うと説明されています。
大きな棚を新しく組み立てる場合もあれば、仏壇のそばに机を置いてお供え物を並べる場合もあります。お盆の間、何をどこに飾るかを考えるための場所が盆棚です。
盆棚には何を飾る?代表的なものと役割
盆棚の飾り方は一つに決まっていませんが、よく用いられるものには次のような品があります。
- 真菰(まこも)の敷物:棚や机の上に敷く、植物の茎で編んだござです。白い布などを敷く場合もあります。
- 位牌(いはい)と仏具:故人やご先祖様をまつり、手を合わせるためのものです。宗派や家の習わしによって、仏壇から位牌を移すことがあります。
- 花・ほおずき・盆提灯:棚の周りを飾り、ご先祖様を迎える気持ちを表します。ほおずきは提灯の明かりに見立てられます。
- きゅうりの馬・なすの牛:「精霊馬(しょうりょううま)」と呼ばれ、ご先祖様が行き来する乗り物に見立てた飾りです。
- 野菜・果物・団子・そうめんなど:季節の食べ物を供え、ご先祖様をもてなす気持ちを表します。
- 水の子(みずのこ)・閼伽水(あかみず):水の子は刻んだ野菜や米を使ったお供え物で、閼伽水は仏様に供える清らかな水です。
ほかにも、棚の周りに竹を立てて縄を張り、そこにほおずきなどをつるす地域があります。すべてを同じ形でそろえる必要はなく、家庭に伝わる飾り方があればそれを基本にします。
水の子・閼伽水・みそはぎは何のためのもの?
盆棚に飾るものの中には、名前を聞いただけでは分かりにくいお供え物もあります。
水の子は、なすやきゅうりを小さな角切りにし、洗った米を添えたものです。蓮(はす)や里芋の葉の上に盛る形が知られています。ご先祖様だけでなく、縁のない霊にも供えるという考え方があります。
閼伽水は、仏様などに供える清らかな水のことです。また、みそはぎという植物を水に浸し、水の子へ水を注ぐ「水向け」と呼ばれる習わしもあります。曹洞宗の耕雲寺や真言宗の南福寺も、これらを盆棚の飾りとして紹介しています。
こうしたお供え物は、地域やお寺によって用い方が違います。見慣れないものがある場合は、無理に一式をそろえるより、どのような習わしなのか菩提寺に尋ねると分かりやすくなります。
盆棚はいつ、どこに作るの?
盆棚は、お盆の入りにご先祖様を迎えられるよう、あらかじめ準備します。7月盆の地域では7月13日、8月盆の地域では8月13日を迎えの日とするところが一般的です。
真言宗の南福寺では、12日または13日の朝に精霊棚を作る地域が多いと案内しています。お盆当日に慌てないよう、前日までに棚や飾りを用意しておくのもよい方法です。
設ける場所は、仏壇の前や近くが代表的です。家によっては仏間の別の場所に作ります。棚のための広い場所がなくても、仏壇の前の小さな机や、安定した台を使う形が紹介されています。
小さな机で盆棚を作るなら、どう並べる?
大きな祭壇を用意しなくても、家の習わしに合う範囲で小さく整えることはできます。次は、仏壇の前に机を置く場合の一例です。
- 台を用意する:安定した机や台を置き、真菰の敷物や白い布を敷きます。
- 中心を整える:位牌を移す習わしの家では、棚の奥や中央に安置します。移し方が分からない場合は、菩提寺に確認します。
- 花と供え物を置く:花立て、季節の果物などを、手を合わせやすいように並べます。精霊馬を飾る家庭では、空いた場所に添えます。
- 明かりを添える:必要に応じて盆提灯を棚の脇に置き、飾りを整えます。
これは一例で、位牌や仏具の位置を全国共通の決まりとして示したものではありません。特にご本尊や仏壇の飾りを動かす場合は、家の宗派やお寺の指示に合わせましょう。
盆棚を作らない宗派もある?
盆棚を必ず設けるわけではありません。浄土真宗本願寺派は、お盆にご先祖の霊を迎えるための精霊棚や盆棚は用いないと説明しています。浄土真宗では、普段の仏壇を整え、仏様に手を合わせることを大切にします。
一方、曹洞宗や日蓮宗などには、盆棚を設けて位牌やお供え物を飾る例が紹介されています。同じお盆でも宗派の教えや地域の風習によって準備が違うため、ほかの家の飾り方をそのまままねする必要はありません。
お盆が終わったら、いつ片付ける?
一般的には、ご先祖様を見送る「送り盆」が終わってから片付けます。7月盆なら7月16日ごろ、8月盆なら8月16日ごろが目安です。地域によっては15日に終える場合もあります。
お盆の間は、花の水を替え、傷みやすい食べ物は様子を見て下げましょう。終わったら使える仏具や提灯を片付け、食べ物や生の植物は家庭の習わしと自治体の分別方法に合わせて処理します。
棚の大きさや飾りの数よりも、家に伝わるお盆の過ごし方を知り、ご先祖様や亡くなった人を思う場所を整えることが大切です。