おせちの栗きんとんにはどんな意味がある?金運との関係

季節・年中行事
ソボチエ編集部

おせち料理の栗きんとんには、お金や暮らしに恵まれ、豊かな一年になりますようにという願いが込められています。黄金色のあんを金に、丸い栗を小判に見立てているためです。「きんとん」は「金団」とも書き、金運や豊かさを願う正月の縁起物として親しまれています。

栗きんとんには金運と豊かな暮らしへの願いがある

栗きんとんが金運と結び付けられるのは、何よりもその色と見た目です。つやのある黄色いあんに栗が入った姿は、金色の財宝が集まっているように見えます。

農林水産省は、おせちのきんとんについて、芋を黄金、栗を小判に見立て、豊かな一年を過ごせるよう願う料理だと紹介しています。紀文食品も、黄金色に輝く財宝にたとえて豊かな一年を願うと説明しています。

ここでいう豊かさは、お金だけに限ったものではありません。新しい年も暮らしに困らず、実りの多い一年を過ごせるようにというお祝いの気持ちです。食べると金運が上がると保証するものではなく、料理に願いを託した日本の正月の習わしです。

「きんとん」を「金団」と書くのはなぜ?

きんとんには「金団」という漢字が使われます。「金」の字と、黄金色の食べ物が集まったような見た目が、財宝を連想させるのです。農林水産省のおせち料理の解説でも、きんとんを「金団」と書き、黄色を黄金に見立てると説明しています。

ただし、「金団」という字が使われる料理や菓子は、正月のおせちだけではありません。きんとんは、あんを使った料理や和菓子の名前としても使われてきました。現在のおせちの栗きんとんでは、黄金色の見た目に、おめでたい意味が重ねられています。

黄色いあんと栗は、黄金と小判を表す

おせちでよく見かける栗きんとんは、さつまいもで作ったなめらかなあんに、甘く煮た栗を混ぜた料理です。栗だけをつぶして作っているわけではありません。

それぞれの見た目には、次のような意味を重ねています。

  • さつまいもの黄色いあん:黄金や財宝のように見立て、豊かな暮らしを願います。
  • あんの中の栗:丸く黄色い栗を小判に見立て、お金や幸せに恵まれることを願います。

キッコーマンの基本の作り方では、さつまいもを柔らかく煮て裏ごしし、砂糖やみりん、栗の甘露煮のシロップを加えて練り、最後に栗を合わせます。なめらかな黄色いあんと栗が一緒になることで、財宝を連想させるおせちの一品に仕上がります。

黄金色をきれいに出すのは「くちなしの実」

栗きんとんの鮮やかな黄色は、さつまいもだけでなく「くちなしの実」を使って整えることがあります。くちなしの実は、黄色く色付けするために使われる植物の実です。

キッコーマンでは、砕いたくちなしの実をガーゼなどに包み、さつまいもをゆでるときに入れる方法を紹介しています。煮るうちに黄色い色が出て、さつまいもを美しい色に仕上げられます。

くちなしの実は必ず使うものではありません。さつまいもの色を生かして作るレシピもあります。色の濃さに違いがあっても、栗きんとんに豊かさを願う意味は同じです。

栗が「勝ち栗」と呼ばれるのはなぜ?

栗には、金運とは別に、勝負に勝つことを願う縁起もあります。「かちぐり」という言葉が「勝ち栗」を連想させるためです。

もともとの「搗ち栗(かちぐり)」は、乾燥させた栗を臼でついて、殻や渋皮を取り除いた保存食です。「搗ち(かち)」という音が「勝ち」に通じることから、武士の出陣や勝利の祝いなどに用いられてきました。国立国会図書館のレファレンス協同データベースにも、この由来が記されています。

紀文食品は、おせちの栗きんとんについても「勝ち栗」の縁起を紹介しています。ただし、現在よく使われる栗の甘露煮と、昔の搗ち栗は同じ加工品ではありません。栗を縁起のよい食材と考えてきた背景として知っておくとよいでしょう。

岐阜県の和菓子「栗きんとん」とは何が違う?

同じ「栗きんとん」という名前でも、おせち料理と岐阜県の和菓子では、材料や見た目が違います。

  • おせちの栗きんとん:さつまいもなどで作った甘いあんに、栗の甘露煮を混ぜる料理。黄金色に豊かさへの願いを重ねます。
  • 岐阜県の栗きんとん:蒸した栗の実に砂糖を加え、布巾で栗の形に絞った和菓子。栗そのものの風味を味わいます。

農林水産省の「うちの郷土料理」では、岐阜県中津川市を中心とする東濃地方の栗きんとんを、地元の栗を生かした伝統的な和菓子として紹介しています。名前が同じでも、お正月の重箱に入れる栗きんとんとは別の食べ物です。

おせちではどこに詰める?

栗きんとんは、祝い肴や口取りとともに「一の重」と呼ばれる重箱の最初の段に詰める例があります。農林水産省が紹介するおせちの詰め方でも、きんとんは一の重に入っています。

ただし、重箱の段数や詰め方は家庭によって違います。栗きんとんを小鉢に盛ったり、食べる分だけ少量用意したりしてもよいでしょう。黄金色の栗きんとんは、豊かな一年を願う気持ちを食卓に添える料理です。

参考資料