酉の市の熊手にはどんな意味がある?買い方と飾り方
酉の市の熊手は、福や運、商売の繁盛を「かき込む」願いを込めた縁起物です。熊手には神社やお寺で授かる小さな「熊手守り」と、露店で選ぶ華やかな「縁起熊手」があります。初めて買うなら、飾る場所と予算に合うものを選び、家では清潔で少し高い場所に飾りましょう。値切りやご祝儀は昔ながらの習わしですが、必ずしなければならない決まりではありません。
熊手に込められた「福をかき込む」という意味
熊手は、もともと落ち葉などをかき集めるための道具です。その働きに重ねて、福やお客さん、お金を集めるという縁起のよい意味が生まれました。神社本庁も、商売繁盛を願う縁起物として熊手を紹介しています。
また、熊手の広がった爪が鷲(わし)の足の爪にも似ていることから、福や運を「わしづかみにする」という願いも伝えられています。こうした意味で、会社やお店だけでなく、家庭の幸せを願う人にも親しまれています。
現在の縁起熊手は、飾りの種類もさまざまです。例えば、おかめの面は福を招くおめでたい顔、小判や大判は財、宝船や七福神はたくさんの福を願う飾りとして使われています。松竹梅や鶴亀、米俵が付いたものもあり、選ぶときに一つひとつ眺めるのも楽しみの一つです。
神社の「熊手御守」と露店の「縁起熊手」はどう違う?
酉の市で見かける熊手には、受け取る場所や役割に違いがあります。
- 熊手御守・熊手守り:鷲神社や長國寺などが、開運や商売繁盛を願うお守りとして授与するものです。浅草の鷲神社では「かっこめ」とも呼ばれます。
- 縁起熊手:熊手商が作り、露店で販売する飾り熊手です。おかめや小判、宝船などを付けたものから、小さく簡素なものまであります。
浅草・鷲神社では、参拝して熊手御守を受けたあと、好みの縁起熊手を探す買い方を紹介しています。ただし、両方をそろえることが義務というわけではありません。目的や飾る場所に合わせて選べます。
初めて熊手を買うなら何を基準に選ぶ?
熊手の大きさや値段は、店や飾りの種類によって大きく変わります。初めてなら次の順番で考えると選びやすくなります。
- 飾る場所を考える:玄関、居間、店の入口など、置く予定の場所の幅と高さを確認します。
- 予算を決める:大きな熊手ほど高価になることがありますが、高いものを選ぶ必要はありません。
- いくつかの店を見比べる:同じくらいの大きさでも飾りは異なります。気に入った柄や形を探しましょう。
- サイズと持ち帰り方を確認する:大きな熊手は幅もあるため、電車や車で運べるか、家で安全に飾れるかも考えます。
小さな熊手を選んでも構いません。浅草の熊手商・西野では、全長約24センチのミニ熊手から1メートルを超えるものまで紹介しています。
「毎年少しずつ大きな熊手を買うとよい」という習わしもありますが、必ず大きくしなければならないわけではありません。鷲神社も、最初は小さなものから始め、商売や家庭の繁栄に合わせて大きくするといわれている、と紹介しています。
露店での熊手の買い方は?値切りや手締めは必要?
浅草・鷲神社の案内では、参拝を済ませてから境内の熊手店を見て回り、好みのものを選ぶ買い方が紹介されています。気になる熊手があれば、店の人に値段を尋ねましょう。表示や販売方法は店によって違うため、予算に合うか確認してから購入します。
酉の市には、店の人と値段を交渉し、値切れた分をご祝儀として渡す「粋な買い方」の伝統があります。売買がまとまると、商売繁盛を願って手を打つ「手締め」をすることもあります。
ただし、値切り交渉も、ご祝儀も、手締めも必須ではありません。浅草の酉の市を案内する長國寺のQ&Aでも、ご祝儀は慣習であって決まりではないと説明しています。初めてなら、値段を確かめて普通に購入するだけでも大丈夫です。熊手商の案内に従い、気持ちよく選びましょう。
熊手は家のどこに飾る?向きに決まりはある?
基本は、清潔で、少し高い場所に、飾りの正面が見えるように置くことです。神社本庁は、神棚や床の間などの清浄な場所を案内しています。神棚がない家なら、玄関や居間の棚など、落ち着いて飾れる場所を選びましょう。
向きについては、参拝先によって説明が少し異なります。
- 浅草・鷲神社の案内:なるべく高い位置で、南向きか東向きがよいとされています。難しければ北向きだけ避ける、という目安です。
- 浅草・長國寺の案内:玄関なら入口に向けて少し高い位置、そのほかの部屋なら南・東・西などへ正面を向ける飾り方を紹介しています。
どちらの案内でも、間取りに合わないときは無理をする必要はありません。飾る面が人に見える位置を選び、倒れたり落ちたりしないよう、熊手の重さに合う台や固定具を使います。出入口の通行を妨げる場所や、火の近く、湿気の多い場所は避けましょう。
熊手はいつからいつまで飾るの?
熊手は、酉の市で新しく求めたあと、翌年の買い替え時期まで一年ほど飾るのが一般的です。浅草・鷲神社では、新しく授かったお札や熊手を年末の28日にまつる案内がありますが、古い熊手から買い替える場合はすぐに飾ってよいとも説明しています。
そのため、買い替えた熊手をすぐに飾っても構いません。お寺や神社から飾り方について個別の案内があれば、そちらを優先しましょう。
古い熊手は翌年どうする?納め方と買い替え
一年ほど飾った熊手は、感謝の気持ちを込めて納める習わしがあります。浅草の鷲神社は、お世話になった古い熊手やお守りを、納め料を添えて授かった寺社に返す方法を案内しています。
浅草の酉の市では、鷲神社と長國寺の入口付近に熊手の納め所があります。翌年、新しい熊手を求めるときに古いものを持参すれば、そこで納められます。別の地域の酉の市では、受け付ける場所や品物が異なるため、事前に確認してください。
どうしても持参できない場合は、まず授かった寺社や購入した店に方法を尋ねましょう。長國寺の案内では、納める先がない大きな熊手などは、感謝したうえで地域の分別ルールに従って処分する方法にも触れています。自宅で勝手に燃やすのは避けましょう。
毎年必ず新しい熊手を買うことより、飾っている間は大切に扱い、役目を終えたときに丁寧に納めることが大切です。