恵方巻きを食べるのはなぜ?恵方を向いて食べる意味

季節・年中行事
ソボチエ編集部

節分に恵方巻きを食べるのは、新しい季節の福や幸せ、商売繁盛などを願うためです。その年の縁起のよい方角である「恵方」を向き、願い事を思い浮かべながら巻き寿司を食べます。一本を切らずに食べるのは「縁を切らない」、黙って食べるのは「福を逃がさない」という縁起担ぎです。ただし、無理に丸かぶりする必要はなく、安全に食べることを優先しましょう。

恵方を向くのは、福をもたらす神さまの方角だから

「恵方(えほう)」とは、その年に縁起がよいとされる方角のことです。昔の暦や占いに関わる陰陽道(おんみょうどう)では、福や幸運をつかさどる「歳徳神(としとくじん)」という神さまがいる方角と考えられてきました。

小学館の『デジタル大辞泉』でも、恵方はその年の十干(じっかん)によって決まる吉方であり、歳徳神のいる方角だと説明されています。農林水産省は、恵方を向いて太巻きを食べることを、商売繁盛や幸せを願う縁起担ぎとして紹介しています。

恵方巻きを食べるときにその方向を向くのは、特別な力があるとされる方角へ気持ちを向け、新しい年の福を願うためです。向いた方角によって実際の運勢が変わるという科学的な決まりではありません。

恵方の方角は毎年変わる?どうやって決める?

恵方は毎年同じ方向ではありません。昔の暦で使われてきた「十干」という十種類の区分に従い、年ごとに方角が決まります。

大まかな向きは、東北東・西南西・南南東・北北西の四つです。例えば2026年は南南東やや南、2027年は北北西やや北に当たります。毎年「南南東でよい」と思い込まず、その年の恵方を確かめましょう。

食卓で方角を合わせるなら、年ごとの恵方を調べてから、スマートフォンのコンパスや方位磁針を使うと分かりやすくなります。正確に数度まで合わせることにこだわるより、伝わってきた願いの意味を知って楽しむとよいでしょう。

恵方巻きを切らずに丸かぶりするのはなぜ?

恵方巻きには、巻き寿司を一本のまま食べる習わしがあります。農林水産省によると、これは「縁を切らない」という願いを込めた食べ方です。寿司を途中で切らず、人と人とのよい縁が続くようにと考えられています。

また、食べている間は願い事を思い浮かべ、話さずに食べきるともいわれます。口を開いて話すと福が逃げてしまうという言い伝えから、無言で食べる風習が生まれたとされています。

これらはお祝いの意味を表す食べ方であり、一本を途中で切ったり、食事中に話したりすると不幸になるという決まりではありません。食べやすさや安全を優先して構いません。

七種類の具を入れるのは七福神にちなむため

恵方巻きには、かんぴょう、きゅうり、卵焼き、しいたけ、あなごなどを巻いた太巻きがあります。具を七種類にするのは、福をもたらすとされる七福神にちなんだ縁起担ぎです。

さまざまな具材を一緒に巻くことには、「福を巻き込む」という意味も込められています。ただし、農林水産省の郷土料理の紹介によると、昔から具の種類や数が決まっていたわけではありません。

今は海鮮や肉、野菜などの具材を使ったものや、細めの恵方巻きもあります。七種類にこだわらず、家族が食べやすい材料や大きさを選べます。

恵方巻きはいつ、どのように食べればいい?

恵方巻きを食べるのは、春の節分の日です。節分は立春の前日なので、2月3日の年が多いものの、2月2日になる年もあります。食べる時間については、家庭で無理なく用意できる食事の時間でかまいません。

習わしを楽しむときは、次のような流れが分かりやすいでしょう。

  1. その年の節分の日付と恵方を確かめます。
  2. 食べる量に合った巻き寿司を用意し、恵方を向いて座ります。
  3. 健康や家族の幸せなど、願い事を心の中で思い浮かべます。
  4. 落ち着いて、よくかんで食べます。食べにくければ切り分けます。

節分の巻き寿司を食べる習わしは、大阪に由来するといわれていますが、発祥には諸説あります。農林水産省によると、1970年代以降の販売促進や、1990年代からのスーパー・コンビニエンスストアでの販売を通じて全国へ広まりました。

子どもには切り分けて、無理な一気食いは避ける

恵方巻きの「丸かぶり」には、特に子どもの窒息や誤嚥(食べ物が気管に入ること)の危険があります。消費者庁は、のりはかみ切りにくい食品の一つであり、子どもには恵方巻きを小さく切り分け、飲み物を用意して、落ち着いてよくかんで食べさせるよう注意を呼びかけています。

大人も、大きな太巻きを口いっぱいに入れたり、早く食べきろうとしたりしないようにしましょう。小さめの巻き寿司やハーフサイズを選べば、無理なく楽しみやすくなります。

恵方巻きの大切な意味は、福を願いながら節分を過ごすことです。縁起のための食べ方に無理に合わせず、家族それぞれが安全においしく食べられる方法を選びましょう。

参考資料