茅の輪くぐりとは?くぐり方と夏越の祓との関係
茅の輪くぐり(ちのわくぐり)は、神社に設けられた草の大きな輪をくぐり、心身を清め、これからの無病息災を願う風習です。一般的には、輪の正面からくぐって左回り、次に右回り、もう一度左回りと、8の字を描くように進みます。最後に輪を通って神前へ向かうのが代表的な作法です。6月末の「夏越の祓(なごしのはらえ)」と深い関係があります。
茅の輪くぐりとは?何を願ってくぐるの?
茅の輪は、茅(ちがや)や藁(わら)などを束ねて輪の形にしたものです。神社の参道や社殿の前に、人が通れるほど大きな輪を設けます。この輪をくぐり、知らず知らずのうちに身についた罪や穢れ(けがれ)を祓い、残る半年を無事に過ごせるように願います。
「穢れを祓う」とは、日々の暮らしでついたものを清め、気持ちを新たにするという考え方です。茅の輪くぐりには、昔から災いを避け、健康に暮らせるよう祈る意味が込められています。
茅の輪のくぐり方は「左・右・左」の順番
よく見られるのは、輪をくぐった後に左、右、左へと回り、毎回最初の正面に戻る方法です。輪を上から見たとき、8の字のような道順になります。
- 正面に立つ:茅の輪の前で立ち止まり、神社の案内板や神職の説明があれば確認します。
- 1回目は左回り:正面から輪をくぐり、左側を回って輪の手前の正面に戻ります。
- 2回目は右回り:もう一度正面からくぐり、今度は右側を回って正面に戻ります。
- 3回目は左回り:再び正面からくぐり、左側を回って正面に戻ります。
- 最後に参拝:もう一度正面から輪を通り抜け、社殿へ進んでお参りします。
「3回くぐる」と説明されるのは、左・右・左の3回の巡りを指しています。京都市の公式案内や六甲八幡神社では、その後に神前へ向かうため、最後にもう一度輪を通る流れが紹介されています。
京都市の案内では、輪をまたぐときは左足からとされています。ただし、作法は神社によって異なります。現地で順番や歩き方が示されている場合は、それに従いましょう。
くぐるときに唱える言葉はある?
茅の輪をくぐる際には、次の古い歌を唱える習わしがあります。
「水無月の夏越の祓する人は 千歳の命のぶというなり」
「6月に夏越の祓をする人は、長く生きられるといわれる」という意味の、長寿を願う歌です。神社本庁は夏越の大祓で唱える歌として、神田明神は茅の輪をくぐる際の歌として紹介しています。
神社によって唱える言葉や進み方が異なるため、境内に歌が書かれていれば、その案内に合わせましょう。
茅の輪の由来は蘇民将来の言い伝え
茅の輪が災いを避けるものと考えられてきた背景には、蘇民将来(そみんしょうらい)という人物の伝承があります。
『備後国風土記』の逸文に伝わる話では、旅の途中の神様を、蘇民将来が貧しい暮らしのなかでも手厚くもてなしました。神様はその行いに応え、茅の輪を腰につければ疫病を免れると告げたとされます。八坂神社は、この神様を素戔嗚尊(すさのおのみこと)として伝えています。
もとの言い伝えに登場するのは、腰につける小さな茅の輪です。今では人が通れる大きさの輪をくぐり、災いを避ける願いを託す行事として親しまれています。
茅の輪くぐりと夏越の祓はどう違う?
夏越の祓は6月に行うお祓いの神事全体を指し、茅の輪くぐりは、その際に行われる風習の一つです。
神社本庁によると、半年ごとに罪や穢れを祓う「大祓(おおはらえ)」は年に2回あり、6月のものを夏越の祓、12月のものを年越の祓といいます。夏越の祓では、大祓詞(おおはらえことば)を唱えたり、人の形をした紙「人形(ひとがた)」に穢れを託したりすることもあります。
茅の輪を設けるかどうか、神事のなかでいつくぐるかは神社によって異なります。「夏越の祓=必ず茅の輪をくぐること」ではなく、茅の輪くぐりは複数あるお祓いの方法の一つと考えると分かりやすいでしょう。
いつくぐれる?当日以外に行ってもいい?
夏越の祓は6月30日ごろに行われますが、茅の輪をくぐれる日がその日だけとは限りません。神事の前から数日間、あるいは数週間設置している神社もあります。
たとえば中山杉山神社は、茅の輪の設置中であれば、神事の時間に関係なく自由にくぐれると案内しています。一方、神職と参列者が一緒にくぐる行事では、開始時刻や受付方法が決まっている場合もあります。
行く前に神社の公式案内で、茅の輪の設置期間、自由にくぐれる時間、神事への参加方法を確認しましょう。くぐり方を間違えないか心配な場合も、境内の掲示を見たり、神職の案内に従ったりすれば大丈夫です。周りの人と譲り合いながら、落ち着いてお参りしましょう。