鏡餅はどうやって食べる?鏡開きで切ってはいけない理由
鏡餅は、鏡開きの日に下げて小さく分け、雑煮やおしるこ、焼き餅などにして食べます。昔ながらの鏡餅は包丁で切らず、手や木づちで割るのが習わしです。ただし、固くなった餅や市販のパック入り鏡餅は、種類に合う安全な方法で分けましょう。包丁を避けるのは、神さまへのお供え物を大切に扱うための、縁起にまつわる作法です。
鏡開きで包丁を使わないのはなぜ?
鏡餅は、新年に迎えた年神さまへのお供え物です。鏡開きでは、その餅を家族で分けて食べ、一年の健康や幸せを願います。
昔から、神さまへのお供え物に刃物を向けるのは縁起がよくないとして、鏡餅は包丁で切らずに割る習慣があります。また、武家社会では、刃物で餅を切ることが「切腹」を連想させるため避けられたとも伝えられています。長崎県の文化に関する資料でも、この由来が紹介されています。
一方、「割る」という言葉も縁起がよくないと考えられました。そこで、おめでたい意味を込めて「開く」と言い、「鏡開き」と呼ぶようになったとされています。包丁を使わないのは伝統的な作法であって、現代の市販品を安全に食べるための切り分け方とは区別して考えると分かりやすいでしょう。
手作りの鏡餅が固くなったときの分け方
つきたての餅で作った鏡餅は、供えている間に乾燥して固くなることがあります。日本鏡餅組合は、乾いてひび割れた鏡餅を木づちや金づちでたたいて割る方法を案内しています。
- 鏡餅を下げ、橙や紙などの飾りを外します。餅の表面と裏側にカビがないかも確認します。
- 十分に乾燥してひびが入っていれば、清潔な布などで包み、安定した台の上に置きます。
- 木づちなどで少しずつたたき、食べやすい大きさに割ります。指をたたかないようにし、破片の飛び散りにも気を付けます。
- 分けた餅は、雑煮の汁で煮るなどして、中心まで十分に加熱してから食べます。
ひびがなく、たたいても割れないほど固い餅に無理に力をかけると危険です。日本鏡餅組合は、冷水にしばらくつけてから切り分け、電子レンジで柔らかくする方法も紹介しています。伝統的な「刃物を使わず開く」という習わしはありますが、固い餅を無理に割ろうとせず、安全を優先してください。
市販のパック入り鏡餅はどうやって食べる?
市販の鏡餅には、主に二つのタイプがあります。越後製菓は、鏡餅形の容器に小さな個包装の餅が入ったものと、容器に餅が一体の形で詰められたものを紹介しています。
- 小餅入りタイプ:容器を開け、中の個包装の切り餅や丸餅を取り出します。食べる分の個包装を外し、商品に書かれた方法で焼くか煮ます。鏡餅の形をした外側の容器を割る必要はありません。
- 上下一体型・充填タイプ:容器そのものに二段重ねの形の餅が入っています。商品の説明に従って容器から取り出し、食べやすい大きさに分けて調理します。メーカーによっては包丁で切り分ける方法を案内しています。
容器や包装の外し方は商品ごとに違います。特に固い餅を取り出すときは、無理に刃物を押し込まず、パッケージの説明を確認しましょう。包装材は食べ物ではないので、調理前に取り除きます。
分けた鏡餅のおいしい食べ方
鏡開きした餅は、普通の餅と同じように加熱して食べられます。日本鏡餅組合や農林水産省では、雑煮や汁粉、ぜんざい、焼き餅などの食べ方を紹介しています。
- 雑煮:小さく分けた餅をだし汁で柔らかくなるまで煮るか、焼いた餅を温かい汁に入れます。
- おしるこ・ぜんざい:餅をゆでるなどして柔らかくし、温めた小豆の汁に加えます。
- 焼き餅:トースターやフライパンなどで、中まで柔らかくなるよう加熱します。しょうゆやきな粉など、好みの味で食べられます。
厚さや固さによって加熱に必要な時間は違います。市販品は包装の調理表示も確認し、生の鏡餅は固い部分が残らないよう十分に火を通してください。
カビが生えた鏡餅は食べない
生の鏡餅にカビが見つかった場合は、食べずに処分してください。農林水産省は、餅のカビを見える部分だけ取り除いても、内部や表面に見えないカビが残る可能性があると説明しています。
カビの種類によっては、通常の加熱では壊れにくいカビ毒を作るものがあります。「焼けば大丈夫」「表面だけ削れば食べられる」と考えず、カビの生えた餅は食べないことが大切です。
餅をのどに詰まらせない食べ方
餅は粘りが強く、のどに詰まる事故が起きることがあります。消費者庁は、特に高齢者が食べる際、次の点に注意するよう呼びかけています。
- 調理する前に、食べやすい小さな大きさに分ける。
- 食べる前にお茶や汁物でのどを潤し、一口の量を少なくする。
- ゆっくりよくかみ、飲み込んでから次の一口を食べる。
- 高齢の方が食べるときは、周りの人も様子を見守る。
餅をよくかまずに飲み物で流し込むのは危険です。鏡開きの餅も、行事の作法だけでなく、無理なく安全に食べられる大きさと調理方法を選びましょう。