「表す」「現す」「著す」の違いは?使い分け方

言葉・日本語
ソボチエ編集部

「表す」「現す」「著す」は、どれも「あらわす」と読みますが、使う場面が違います。「表す」は気持ちや考え、意味を言葉や形などで伝えること。「現す」は隠れていた姿や正体を見えるようにすること。「著す」は本などを書いて世に出すことです。

「感謝の気持ちを表す」「姿を現す」「書物を著す」のように、何をあらわすのかに注目すると、漢字を選びやすくなります。

「表す」は気持ちや考え、意味を伝える

「表す」は、心の中の感情や考えを、言葉・表情・絵・動作などを使って人に伝えるときに使います。「表現」「発表」の「表」と結び付けて覚えるとよいでしょう。

  • 感謝の気持ちを言葉で表す
  • 喜びを顔に表す
  • 考えを文章に表す
  • 気持ちを絵で表す

例えば「喜びを顔に表す」は、うれしい気持ちを表情に出すことです。「考えを文章に表す」は、頭の中で考えていることを言葉にして伝えることを意味します。

また、「表す」は、ある形や記号が何を意味するかを示す場合にも使います。「数字で大きさを表す」「温度の変化をグラフで表す」のように、目に見える形で内容を伝える使い方です。

「現す」は隠れていた姿や正体を見せる

「現す」は、それまで見えなかったものが姿を見せたり、隠れていた正体を明らかにしたりするときに使います。「出現」「現実」の「現」を思い浮かべると分かりやすくなります。

  • 人が木陰から姿を現す
  • 事件の犯人が正体を現す
  • ふとした言動で本性を現す
  • 若い選手が頭角を現す

「姿を現す」は、見えなかった人などが目の前に出てくることです。「本性を現す」は、それまで隠れていた本当の性質がはっきり分かるようになることを表します。

「頭角を現す」は、能力や才能が人より目立つようになるという意味の慣用的な言い方です。姿が見えるという意味だけでなく、隠れていた力がはっきり分かる場合にも「現す」を使います。

「著す」は本などを書いて世に出す

「著す」は、書物を執筆して世に出すことを表します。「著者」「著作」「著書」の「著」です。日記を一日分書くといった行動ではなく、本としてまとめて出版することに注目した言葉です。

  • 自分の経験をまとめた本を著す
  • 長年の研究を研究書に著す
  • 歴史を調べて書物を著す
  • 会社の歩みを記した社史を著す

例えば「自伝を著す」は、自分の人生を振り返った本を書いて世に出すことです。単に手紙や文章を書くというだけなら、普通は「著す」とは言いません。

「気持ちを表す」と「姿を現す」の違い

「表す」と「現す」は、どちらも外から分かるようにする点で似ていますが、何が外に出るのかが違います。「表す」は思いや意味を表現すること、「現す」はそれまで隠れていた姿や実態を見せることです。

  • 顔に喜びを表す:うれしい気持ちを表情で示す
  • 舞台に姿を現す:見えなかった人が姿を見せる
  • 感謝を手紙に表す:感謝の思いを言葉で伝える
  • 隠していた本性を現す:本当の性質を明らかにする

例えば、ある人が笑顔で気持ちを伝えたなら「喜びを表す」、その人が物陰から出てきたなら「姿を現す」です。どちらも同じ「あらわす」ですが、動きの内容で使い分けます。

「文章に表す」と「書物を著す」の違い

文章に関係する場合も、二つの漢字を使い分けます。「思いを文章に表す」は、自分の気持ちや考えを言葉で示すことです。一方、「書物を著す」は、本を執筆して出版することを表します。

例えば、学校で将来の夢を作文に書くなら「夢を文章に表す」と言えます。作家がその経験を一冊の本として出版するなら「本を著す」です。書く行為そのものよりも、何を伝えるのか、書物を世に出すのかに注目しましょう。

「表れる」と「現れる」も同じ考え方で使い分ける

「あらわす」と似た言葉に「あらわれる」があります。「表れる」は、感情や影響などが外から分かる状態になることです。「現れる」は、見えなかった人や物が姿を見せることを表します。

  • うれしさが顔に表れる
  • 甘えが態度に表れる
  • 人が暗がりから現れる
  • 雲の間から太陽が現れる

「喜びを顔に表す」は人が気持ちを示す言い方で、「喜びが顔に表れる」は気持ちが自然に外へ出ている言い方です。また、「姿を現す」と「人が現れる」は、いずれも見えなかったものが見えるようになる意味でつながっています。

まとめ

気持ちや意味を伝えるなら「表す」、隠れていた姿や正体を見せるなら「現す」、書物を書いて世に出すなら「著す」を使います。「表現」「出現」「著作」という熟語を思い浮かべると、迷ったときにも選びやすくなります。

参考資料