「一長一短」の意味は?長所と短所との違い
「一長一短(いっちょういったん)」は、人や物事には良い点もあれば、悪い点もあるという意味の四字熟語です。
「長所」は優れているところ、「短所」は足りないところを指します。それに対して「一長一短」は、一つの人や物事に長所と短所の両方があることをまとめて表す言葉です。使い方や、似た四字熟語との違いも見ていきましょう。
「一長一短」は良い点と悪い点の両方があること
小学館の『デジタル大辞泉』や日本漢字能力検定協会の「漢字ペディア」は、「一長一短」を、人や物事に長所も短所もあるという意味で説明しています。集英社の『スピーチに役立つ四字熟語辞典』でも、良いところと欠点の両方を持っていることとされています。
例えば、ある掃除道具は軽くて動かしやすい反面、狭いすき間には入りにくいとします。この道具には、便利な点と不便な点の両方があります。そんなときに「この道具は一長一短だ」と言えます。
「一長一短」は、長所だけをほめる言葉でも、短所だけを指摘する言葉でもありません。両方の面を見て判断するときに役立ちます。
「長所」「短所」とはどう違う?
『デジタル大辞泉』では、「長所」を性質や性能などで優れているところ、「短所」を劣っているところや欠点と説明しています。
- 長所(ちょうしょ):人や物の良いところ。「このかばんの長所は、軽くて持ちやすいことです」のように使います。
- 短所(たんしょ):人や物の足りないところ。「このかばんの短所は、入れられる物が少ないことです」のように使います。
- 一長一短:長所と短所がどちらもあること。「このかばんは一長一短ですが、近所への外出には便利です」のように使います。
つまり、「長所」と「短所」はそれぞれの特徴を指す言葉で、「一長一短」は良い特徴と悪い特徴が共存している状態を指します。「長所も短所もある」を、短くまとめて伝えたいときに使える表現です。
「一長一短」は良い点と悪い点が一つずつという意味?
漢字を見ると、「一つの長所と一つの短所がある」という意味に思えるかもしれません。しかし、実際の使い方では、長所と短所の数が必ず一つずつであるという決まりはありません。
良い点が二つ、気になる点が一つある場合でも、両方の面があることを表して「一長一短」と言えます。また、良い点と悪い点が同じくらい重要でなければ使えないということでもありません。
例えば、持ち運びやすく、手入れも簡単だけれど、価格が高い道具なら、その良い点と悪い点を合わせて「一長一短がある」と表現できます。
どんなときに使う?日常の例文
何かを比較するときや、一つの物事をさまざまな面から考えるときに使います。
- 買い物:「小さな収納箱は置きやすいけれど、あまり物が入らない。大きな箱は収納力があるけれど、場所を取る。どちらも一長一短だね」
- 仕事:「A案は早く終わるが費用が高く、B案は費用を抑えられるが時間がかかる。二つの案には一長一短がある」
- 暮らし:「駅に近い住まいは移動に便利だけれど、家賃が予算より高い。今の候補は一長一短だから、何を優先するか考えよう」
- 自分の性格:「私は決断が早い反面、細かい確認を忘れることもある。自分にも一長一短があると感じる」
「どちらも一長一短だ」「それぞれ一長一短がある」のように、複数の選択肢を比べる使い方がよく見られます。一つの物や人について「この方法にも一長一短がある」と言うこともできます。
一長一短なら、どちらを選んでも同じ?
「一長一短」とは、良い点と悪い点が両方あるという意味で、二つのものの価値がまったく同じだという意味ではありません。長所と短所を比べたうえで、目的に合う方を選ぶことができます。
例えば、先ほどのA案とB案なら、急いで終わらせる必要があるときはA案が、費用を抑えたいときはB案が向くでしょう。どちらにも一長一短があっても、何を大切にするかによって判断は変わります。
ただ「一長一短だ」で終わらず、「今回は時間を優先するのでA案にします」と続けると、選んだ理由まで分かりやすくなります。
「一得一失」「一利一害」との違い
似た四字熟語には「一得一失(いっとくいっしつ)」と「一利一害(いちりいちがい)」があります。漢字ペディアでも、「一長一短」の類義語として紹介されています。
- 一長一短:人や物事に、優れた点と足りない点があること。
- 一得一失:得になる面がある一方で、損になる面もあること。
- 一利一害:利益がある一方で、害となる面もあること。
基本的な意味はよく似ていますが、「一長一短」は人の性格や物の特徴などに幅広く使えます。「一得一失」は得と損、「一利一害」は利益と害という面を表したいときに分かりやすい言葉です。
昔の用例では「長い・短い」という意味もあった
『精選版 日本国語大辞典』には、「一長一短」の別の意味として、長くなったり短くなったりすることも載っています。
この意味の古い使用例には、814年に成立した漢詩集『凌雲集(りょううんしゅう)』にある藤原冬嗣(ふじわらのふゆつぐ)の詩が挙げられています。一方、長所と短所の両方があるという現在よく使われる意味では、上田万年(うえだかずとし)の『国文学緒言』にある1890年の用例が紹介されています。
これらは辞書に記録された使用例の年代であり、その年に言葉が初めて作られたという意味ではありません。現在の日常会話では、長所と短所の両方があるという意味で覚えておくとよいでしょう。
人に向かって使うときの注意点
「一長一短」は、良い点も認める言葉ですが、同時に短所があることも伝えます。そのため、相手に直接「あなたには一長一短がありますね」と言うと、評価されたり欠点を指摘されたりしたように感じさせる場合があります。
相手の良いところを伝えたいだけなら、「丁寧に説明してくれるところが長所ですね」のように、具体的な長所を言葉にする方が自然です。
「一長一短」は、人や物事を良い面と悪い面の両方から捉えるときに使う言葉です。何が長所で何が短所なのかを確かめながら使うと、意味が正しく伝わります。