「先日」と「先般」の違いは?使う場面とニュアンス

言葉・日本語
ソボチエ編集部

「先日(せんじつ)」と「先般(せんぱん)」は、どちらも「このあいだ」「少し前」を表す言葉です。大きな違いは、伝える内容と文章の印象にあります。「先日」は日常の会話にも仕事の連絡にも使いやすく、「先般」はお知らせや報告などで使われる、少し改まった表現です。

同じ出来事を指して両方使えることもあります。何日前かという日数だけで区別するのではなく、誰に何を伝えるかで選びましょう。

「先日」は近い過去のある日を表す

「先日」は、さほど遠くない過去のある日を指します。小学館の『デジタル大辞泉』では「近い過去のある日」という意味で説明されています。

具体的な日付を言わずに、「このあいだ、こんなことがあった」と伝えるときに便利です。友人との会話にも、仕事のメールにも自然に使えます。

  • 先日、友人と久しぶりに会いました。
  • 先日はお世話になり、ありがとうございました。
  • 先日お送りした資料をご確認ください。

「先日はありがとうございました」は、訪問や打ち合わせなど、少し前に受けた親切へのお礼にも使えます。

「先般」は少し前のことを改まって伝える

「先般」は、「さきごろ」「このあいだ」という意味です。『デジタル大辞泉』では、「先般の件、承知いたしました」などが例に挙げられています。

意味は「先日」と近いものの、日常会話では少し硬く聞こえます。仕事上の案内や報告、かしこまった説明などで使われやすい言葉です。

  • 先般ご案内した会議の日程を変更します。
  • 先般の打ち合わせで決まった内容をお知らせします。
  • 先般お送りした書類について、ご連絡いたします。

文化庁が公開している国語審議会の議事要録にも、以前に日程の都合を尋ねたことを「先般」と表した例があります。公的な場での使用例の一つです。

同じ出来事でも受ける印象が変わる

例えば、少し前の会議について話す場合、次の二つはどちらも使えます。

  • 「先日の会議で決まったことをお伝えします」:分かりやすく、親しみやすい印象。
  • 「先般の会議で決まったことをお伝えします」:少し改まった、事務的な印象。

どちらも過去の同じ会議を指せます。「先般」にしたから別の会議や、もっと昔の会議になるわけではありません。

また、「先般」は敬語そのものではありません。相手への丁寧さは、「お知らせいたします」「ご確認ください」など、文全体の言葉遣いでも表します。

会話やメールではどちらを使う?

普段の会話や身近な相手への連絡なら、「先日」が使いやすいでしょう。「先日一緒に行ったお店」のように話しても、自然に伝わります。

仕事のメールでも、「先日はお時間をいただき、ありがとうございました」「先日ご相談した件について」のように「先日」を使えます。仕事だから必ず「先般」にする必要はありません。

一方、会社からの通知や報告書など、少し改まった文章では「先般」も選べます。「先般お知らせした内容を変更します」とすれば、事務的な連絡に合う言い方になります。

何日前までを「先日」「先般」と呼べる?

どちらも、何日前から何日前までという決まった日数はありません。辞書では「近い過去のある日」「さきごろ」などと説明されており、「先日は一週間以内」「先般は一か月前から」というような明確な線引きはありません。

「先般」は「先日」より必ず古い出来事を指す、という決まりもありません。日数よりも、話の内容や言葉の硬さの違いを意識するほうが自然です。

相手がいつの出来事か分からない場合は、「10月15日の会議で」のように、日付や出来事の名前を示すと確実です。

「先般の件」だけで伝わらないときは?

「先般の件についてご連絡します」は、相手も話題を覚えていれば通じます。しかし、最近いくつも連絡を取り合っていた場合、どの件なのか迷うことがあります。

そのようなときは、「先般ご案内した研修会について」「先日お送りした見積書について」のように、何のことかを具体的に書きましょう。

「先日」か「先般」かを選ぶこと以上に、相手が同じ出来事を思い浮かべられる書き方が大切です。

まとめ

「先日」は近い過去のある日を表し、会話でも仕事でも幅広く使えます。「先般」も「このあいだ」という意味ですが、通知や報告などで使われる、少し改まった言い方です。何日前かで厳密に分ける言葉ではないため、相手や場面に合わせて選びましょう。

参考資料