「見る」と「観る」の違いは?映画やテレビではどちら?

言葉・日本語
ソボチエ編集部

「見る」と「観る」は、どちらも「みる」と読みます。「見る」は目で何かをとらえるときに広く使う表記で、「観る」は作品や試合などを意識して味わい、見物する気持ちを表しやすい表記です。

映画もテレビも、基本的には「見る」と書いて問題ありません。映画をじっくり鑑賞するなら「観る」と書くこともできます。テレビも、ニュースを「見る」、ドラマを「観る」のように、何をどのように楽しむかで選べます。どちらか一方だけが正しいという決まりではありません。

「見る」と「観る」の意味はどう違う?

日本漢字能力検定協会の「漢字ペディア」は、「見る」を目で物事をとらえることなどに広く使う言葉としています。一方、「観る」は、遠くから眺める、見物する、念を入れてみるという意味です。

  • 見る:時計を見る、空を見る、テレビを見る、資料を見るなど、目で確かめる行為全般。
  • 観る:演劇を観る、野球を観る、映画を観るなど、内容を楽しんだり、見物したりすることを意識した言い方。

「観る」には、「観劇」「観戦」「観賞」といった熟語につながる意味合いがあります。しかし、「見る」も見物や鑑賞の場面に使えます。漢字の違いで、行動そのものが別になるわけではありません。

映画は「見る」と「観る」のどちらが正しい?

「映画を見る」も「映画を観る」も使える表現です。小学館の『デジタル大辞泉』には、「見る」の用法として映画を見物・見学する例が載っています。

「昨日は家族と映画を見た」と言えば、映画を見たという出来事を自然に伝えられます。一方、「好きな監督の作品を映画館でじっくり観た」と書けば、作品を鑑賞した気持ちが伝わりやすくなります。

  • 映画を見る:「週末に友達と映画を見た」「予告編を見て、気になる作品を選んだ」
  • 映画を観る:「劇場で話題の映画をじっくり観た」「映像と音楽を楽しみながら作品を観た」

ただし、映画館に行ったから必ず「観る」、自宅で配信を見たから必ず「見る」というわけではありません。自宅で作品をじっくり「観る」と書くことも、映画館で「映画を見る」と書くことも自然です。

「映画を見に行く」「映画を観に行く」も同じ考え方です。迷ったら、広く使える「見る」を選べば十分に意味が通じます。

テレビでは「見る」と「観る」をどう使う?

テレビについては「テレビを見る」が一般的で、漢字ペディアにもその用例が載っています。放送内容を見たり、番組から情報を得たりするときは「見る」で自然です。

一方、ドラマや映画、スポーツ番組などを作品や試合として楽しむ気持ちを表したいなら、「観る」を使うこともできます。

  • 見る:「朝、テレビで天気予報を見る」「夕食のあとにニュースを見る」「番組表を見て放送時間を調べる」
  • 観る:「テレビで大好きなドラマを観る」「週末はテレビでサッカーの試合を観る」「録画した舞台公演をゆっくり観る」

「テレビを観る」と書いても、必ずしも誤りではありません。ただし、テレビそのものを指して「観る」と書く必要はなく、普段は「テレビを見る」で十分です。作品を鑑賞することを強調したいなら、具体的に「ドラマを観る」「試合を観る」と書くと分かりやすくなります。

演劇やスポーツ、景色ではどちらを使う?

演劇やスポーツを見る場合にも、「観る」を使うと、見物や観戦の意味を表しやすくなります。漢字ペディアは「演劇を観る」「野球を観る」を、「観る」の用例に挙げています。

  • 舞台:「劇場で芝居を観る」は、演劇を鑑賞する様子を表す。
  • スポーツ:「球場で試合を観る」は、試合を観戦する様子を表す。
  • 景色:「高台から夕景を観る」は、景色を味わいながら眺める様子を表す。

どれも「見る」と書いて間違いになるわけではありません。「演劇を見る」「試合を見る」「景色を見る」でも、きちんと意味が伝わります。

反対に、「時計を見る」「信号を見る」「資料を見る」のように、時刻や状況を確かめたり、内容を調べたりするときは「見る」を選ぶのが自然です。

常用漢字表では「観る」の読み方はどうなっている?

使い分けで知っておきたいのが、文化庁の「常用漢字表」です。常用漢字表では、「見」に「みる」という訓読みが掲載されていますが、「観」は音読みの「カン」だけで、「みる」という訓読みは掲載されていません。

つまり、「観」という漢字自体は常用漢字でも、「観る」と書いて「みる」と読むのは、常用漢字表にない読み方です。漢字ペディアでも「観る」には表外の読みを示す印が付いています。

そのため、学校の課題や公的な文書など、常用漢字表に沿った書き方を大切にする場合は、「映画を見る」「テレビを見る」とするのが確実です。

ただし、常用漢字表に載っていない読み方だからといって、日常の文章で「観る」と書くこと自体が誤字になるわけではありません。作品を鑑賞する気持ちを表すため、私的な文章などで使われています。

「見る」を使えば、じっくり見ていないという意味になる?

そんなことはありません。例えば「大好きな映画を何度も見た」と書いても、その映画をしっかり味わって楽しんだことは十分に伝わります。

大修館書店の「漢字文化資料館」も、「見」「視」「観」の意味の境目は、それほどはっきりしていないと説明しています。「観る」を選ぶと鑑賞のニュアンスを出しやすいものの、「見る」が必ず何気なく目に入れるだけの意味になるわけではありません。

映画やテレビについて迷ったときは、普通に内容を伝えるなら「見る」、作品を鑑賞する気持ちを漢字でも表したいなら「観る」と考えれば十分です。媒体や場所で機械的に決めず、文章で何を伝えたいかに合わせて選びましょう。

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