「煮詰まる」の意味は?行き詰まるとの違い

言葉・日本語
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「煮詰まる」と「行き詰まる」は、本来は反対に近い意味です。「煮詰まる」は、議論や検討が十分に進み、結論を出せる段階に近づくこと。「行き詰まる」は、物事がうまく先へ進まず、どうにもならなくなることです。ただし現在は、「煮詰まる」を「行き詰まる」の意味で使う例も広がっており、辞書にもその使われ方が記されています。

「煮詰まる」は、結論が出る段階に近づくこと

デジタル大辞泉では、「煮詰まる」について、料理では煮えて水分がなくなること、比喩的には討議や検討が十分になされて、結論が出る段階に近づくことと説明しています。

たとえば「会議を重ねて計画が煮詰まってきた」なら、本来は「話し合いが十分に進み、計画の結論が見えてきた」という意味です。話が止まったのではなく、むしろまとまりに近づいています。

「行き詰まる」は、先へ進めなくなること

一方、「行き詰まる」は、行く手がふさがって先へ進めないことから転じて、物事がうまく進まず、どうにもならなくなることを表します。

「資金不足で計画が行き詰まった」「話し合いが行き詰まり、結論を出せない」のように、前へ進めなくなった状態で使います。

二つの違いは「進んでいるか、止まっているか」

  • 煮詰まる:話し合いが十分に進み、結論に近づく
  • 行き詰まる:問題が解決せず、先へ進めなくなる

「煮詰まる」には、料理で煮えて水分が少なくなる意味もあります。一方、「行き詰まる」は、道の行く手がふさがる意味と、物事が先へ進めなくなる意味があります。どちらも「詰まる」を含みますが、議論について使うときの本来の意味は同じではありません。

「煮詰まって考えが浮かばない」という使い方も広がっている

現在は、「煮詰まってしまって、いい考えが浮かばない」のように、「行き詰まる」と同じ意味で使う例も珍しくありません。デジタル大辞泉は、この使い方が多くなっていることを補説で紹介しています。また、精選版日本国語大辞典も、「問題や状態などが行きづまってどうにもならなくなる」という意味を掲載しています。

そのため、現在の日本語では「煮詰まる」を「行き詰まる」の意味で使う例を、単純に存在しない意味とすることはできません。ただし、文脈によっては「結論に近づいた」のか「進めなくなった」のか、正反対に受け取られる可能性があります。

文化庁の調査でも、意味の受け取り方が分かれている

文化庁の平成25年度「国語に関する世論調査」では、「7日間に及ぶ議論で、計画が煮詰まった」という例文について、本来の意味とされる「結論の出る状態になること」を選んだ人が51.8%、「結論が出せない状態になること」を選んだ人が40.0%でした。

平成19年度の調査でも、本来の意味を選んだ人が56.7%、行き詰まる意味を選んだ人が37.3%でした。これらは古い調査なので現在の割合をそのまま示すものではありませんが、「煮詰まる」が以前から二つの意味に受け取られやすい言葉だったことは分かります。

誤解されたくない場面では、言い換えると安心

仕事や会議など、意味を正確に伝えたい場面では、「煮詰まる」だけに頼らず、状態を具体的に言い換えると分かりやすくなります。

  • 結論に近づいたとき:「議論がまとまってきた」「結論が見えてきた」
  • 先へ進めないとき:「議論が行き詰まった」「解決策が見つからない」

特に「話が煮詰まった」とだけ言うと、人によって反対の意味に受け取る可能性があります。重要な場面ほど、言い換えたほうが誤解を防げます。

まとめ

「煮詰まる」の本来の意味は、議論や検討が十分に進み、結論の出る段階に近づくことです。「行き詰まる」は、先へ進めなくなることを表します。ただし現在は「煮詰まる」を「行き詰まる」の意味で使う例も辞書に記載されています。正確に伝えたいときは、「結論が見えてきた」「行き詰まった」と言い換えると安心です。

参考資料