「会う」と「逢う」の違いは?意味と使い分け

言葉・日本語
ソボチエ編集部

「会う」と「逢う」は、どちらも「あう」と読み、人と顔を合わせたり、出会ったりする意味で使います。「会う」は普段から広く使える表記で、「逢う」はその出会いの親しさや大切さを感じさせたいときに選ばれる表記です。

例えば「明日、友達に会う」は一般的な書き方です。「大切な人に再び逢う」と書けば、会うことへの特別な気持ちが伝わりやすくなります。ただし、意味は大きく重なっており、恋人なら必ず「逢う」と書くような決まりはありません。

「会う」と「逢う」は何が違う?

日本漢字能力検定協会の「漢字ペディア」は、「会う」を人と顔を合わせることや、偶然に知人と出会うことと説明しています。一方、「逢う」も人と出会う意味で、思いがけないところで知人に出会う用例を挙げています。

  • 会う:人と対面することを広く表す。約束して会う場合にも、偶然顔を合わせる場合にも使える。
  • 逢う:人と出会うことを表す。文学的な文章や、出会いへの親しさ・喜び・大切さを込めたい場面で選ばれることがある。

「逢う」には、漢字そのものに「恋人と会う」という限定された意味があるわけではありません。「会う」も「逢う」も、相手と出会うという出来事は同じです。違うのは、書き手がその場面にどのような雰囲気を添えたいかという点です。

「会う」は普段の会話や仕事で使いやすい

「会う」は、人と顔を合わせることを伝える最も一般的な表記です。小学館の『デジタル大辞泉』でも、人と対面したり、たまたま出会ったりする意味で説明されています。

  • 約束して会う:「明日の午後、駅前で友達に会う」
  • 仕事で会う:「取引先の担当者に会い、打ち合わせをした」
  • 久しぶりに会う:「帰省して、何年も会っていなかった親戚に会った」
  • 偶然会う:「買い物の帰りに、昔の同級生にばったり会った」

「会う」は、友達、家族、恋人、先生、仕事相手など、相手との関係を問わず使えます。手紙や学校の作文、仕事の連絡にも合わせやすい表記です。

例えば「来週、恋人に会う」と書いても、そっけない意味にはなりません。会うことを楽しみにしている気持ちは、文章の前後から十分に伝えられます。

「逢う」は大切な出会いの気持ちを込めたいときに使う

「逢う」は、辞書では「会う」と同じように、人と出会う意味を持ちます。日本漢字能力検定協会の漢検の解説では、出会いに親しさや好ましさ、貴重さを含ませたいときに使うと紹介されています。

例えば、「長い間離れていた人に、ようやく逢えた」「あの日、あなたに逢えてよかった」のように書くと、その出会いを大切に感じている雰囲気が出ます。

恋愛の場面でよく選ばれますが、恋人に限った漢字ではありません。大切な友人との再会や、忘れられない人との出会いを表したい文章にも使えます。

また、「逢う」には偶然に出会うという意味もあります。漢字ペディアには、思いがけない場所で知人に逢うという例が載っています。必ず約束して会う場合だけに使うわけでもありません。

恋人に「会う」「逢う」はどちらが正しい?

「恋人に会う」も「恋人に逢う」も、どちらも使えます。相手が恋人かどうかで漢字が決まるのではなく、文章の目的や雰囲気で選ぶとよいでしょう。

  • 普通の予定を伝える:「明日は恋人に会う予定です」
  • 再会への気持ちを強調する:「離れて暮らす恋人に、やっと逢える」
  • 親しい友人の場合:「幼なじみにもう一度逢いたい」

ただし、「会う」と書いたから気持ちが弱いということにはなりません。反対に、「逢う」と書いただけで恋愛関係を示すわけでもありません。

日程の連絡なら「会う」が自然です。手紙や作品の中で再会の喜びを表したいなら、「逢う」を選ぶこともできます。

「出会う」と「出逢う」も使い分ける?

「出会う」も「出逢う」も、人と出会う意味で使われます。小学館の『デジタル大辞泉』は、「出合う/出会う」の項目で、偶然人と出会う意味について「出逢う」とも書くと説明しています。

  • 出会う:「新しい学校で、たくさんの友達に出会った」
  • 出逢う:「あの人との出逢いが、自分にとって大切な思い出になった」

基本的な意味は同じです。「出逢う」には、出会いを大切に思う気持ちを込めやすいという使い分けの目安があります。

なお、辞書には「出合う」という表記もあります。例えば川と川が合流する場所などに使われます。人に会う話なら、まず「出会う」と覚えておけば十分です。

「逢う」は常用漢字ではないの?

文化庁の「常用漢字表」には「会」が載り、「あう」という読み方が示されています。一方、「逢」は常用漢字表に入っていません。

常用漢字表は、一般の社会生活で漢字を使う際の目安です。「逢う」が使ってはいけない言葉という意味ではありませんが、学校の課題や公的な文章、仕事の書類では「会う」を選ぶ方が分かりやすく、無難です。

私的な手紙や創作などでは、文章の雰囲気に合わせて「逢う」を選べます。読み手に読みやすく伝えることを大切にしましょう。

「合う」「遭う」とも間違えないように

「あう」には、「会う」「逢う」以外にも似た読み方の漢字があります。漢字ペディアはそれぞれ次のように区別しています。

  • 合う:一致する、ぴったり合わさる。「意見が合う」「服のサイズが合う」
  • 会う:人と顔を合わせる。「友達に会う」
  • 逢う:人と出会う。「大切な人に逢う」
  • 遭う:事故や災難などに出くわす。「交通事故に遭う」「夕立に遭う」

例えば「友達と意見が合う」の「合う」は、気持ちや考えが一致する意味です。「友達に会う」の「会う」は、実際に顔を合わせる意味なので、同じ読み方でも使う漢字が違います。

「会う」は相手と顔を合わせるときの基本の書き方。「逢う」は出会いの大切さなどを漢字でも伝えたいときの選択肢です。迷った場合は「会う」と書けば自然に伝わります。

参考資料