「試行錯誤」の意味は?正しい使い方

言葉・日本語
ソボチエ編集部

「試行錯誤(しこうさくご)」は、ある目的を達成するために、いろいろな方法を試し、失敗を重ねながら解決方法を探していくことです。

例えば、勉強のやり方を変えてみて、うまくいかなかった点を直しながら、自分に合った方法を見つけようとすることが試行錯誤に当たります。失敗そのものではなく、試して工夫し、目的に近づいていく過程を表す言葉です。

「試行錯誤」は試しながら解決方法を探すこと

小学館の『デジタル大辞泉』は「試行錯誤」を、さまざまな方法を繰り返し試して、失敗を経験しながら解決方法を探すことと説明しています。日本漢字能力検定協会の「漢字ペディア」でも、試みと失敗を重ねながら、だんだん適切な方法を見つけることとされています。

この言葉は、最初から正しい方法が分かっていないときによく使われます。方法を一つ試しただけで終わるのではなく、結果を見て別の方法を考えたり、やり方を変えたりする点が特徴です。

必ず最後に成功した場合だけに使うわけではありません。まだ答えが見つからず、解決に向けて試している途中でも「試行錯誤している」と言えます。

「試行」と「錯誤」はそれぞれどんな意味?

「試行(しこう)」は、試しにやってみることです。『デジタル大辞泉』では、新しい方法などを実際に試すことを意味すると説明しています。

「錯誤(さくご)」は、間違いや誤りのことです。何かを正しいと思って試しても、思いどおりの結果にならないことがあります。

この二つを合わせた「試行錯誤」は、試してみることと、うまくいかないことを経験しながら、よりよい方法を探すという意味になります。

「しこう」は「思考」ではなく「試行」と書きます。「思考」は頭の中で考えることですが、「試行」は実際に試してみることを指します。そのため、「思考錯誤」と書かないようにしましょう。

どんなときに使う?身近な例文

勉強、料理、仕事、ものづくりなど、目標に向けて方法を見直している場面で使えます。

  • 勉強:「英単語を覚える方法を試行錯誤しながら、自分に合った勉強の仕方を探している」
  • 料理:「何度も試行錯誤を重ねて、家族が食べやすい味付けに仕上げた」
  • 仕事:「試行錯誤しながら作業の順番を見直し、前より分かりやすい手順に整理できた」
  • ものづくり:「試行錯誤の末、倒れにくい工作の土台を作ることができた」

どの例も、目標があり、そこへ近づこうとして方法を試しているところが共通しています。何を試したのかを具体的に書くと、より伝わりやすくなります。

「試行錯誤を重ねる」「試行錯誤の末」は正しい使い方?

どちらも自然な使い方です。『デジタル大辞泉』には「試行錯誤を重ねる」という例があり、集英社の『スピーチに役立つ四字熟語辞典』でも、何度も実験した末に目標を達成した例が紹介されています。

  • 試行錯誤する:「使いやすい収納の置き方を試行錯誤する」
  • 試行錯誤を重ねる:「試行錯誤を重ねて、説明の仕方を改良した」
  • 試行錯誤しながら:「試行錯誤しながら、新しい作業手順を調整している」
  • 試行錯誤の末:「試行錯誤の末、ようやく満足できる形になった」

「試行錯誤を繰り返す」という言い方も間違いではありません。『精選版 日本国語大辞典』には、この形を使った文学作品の用例が載っています。

ただ失敗を繰り返すだけでも試行錯誤?

「試行錯誤」は単なる失敗の数を表す言葉ではありません。解決したい問題があり、あれこれ試していることが大切です。

例えば、発表用の資料を作っているとき、文字が小さくて読みにくかったため大きくしてみたとします。今度は一枚に内容が収まらなくなったので、資料を二枚に分けて作り直しました。こうして試した結果を次の工夫に生かしているなら、試行錯誤と呼べます。

一方、同じ間違いに気づかないまま、何も変えずに繰り返しているだけでは、「試行錯誤して方法を探す」という意味が伝わりにくくなります。何を試し、どう見直したのかを意識すると、言葉を正しく使いやすくなります。

もともとは英語の「trial and error」を訳した言葉

小学館の『四字熟語を知る辞典』と集英社の『スピーチに役立つ四字熟語辞典』によると、「試行錯誤」は英語の「trial and error(トライアル・アンド・エラー)」を訳した、もともとは心理学の用語です。

心理学では、問題を解こうとしてさまざまな行動を試し、うまくいった行動を覚えていく学習の仕方を説明するためにも使われます。小学館の『日本大百科全書』では、心理学者ソーンダイクが動物の行動を調べた研究に結びつけて解説されています。

現在の日常会話では、こうした専門的な意味に限らず、何度も方法を試しながら課題に取り組むことを広く表しています。

「暗中模索」「創意工夫」との違い

「試行錯誤」と似た場面で使う言葉に「暗中模索(あんちゅうもさく)」と「創意工夫(そういくふう)」があります。

  • 試行錯誤:いろいろ試して失敗も経験しながら、解決方法を探していくこと。
  • 暗中模索:手がかりがなく、どうしたらよいか分からない中で、あれこれ探り求めること。
  • 創意工夫:考えをめぐらせ、新しい方法やアイデアを生み出すこと。

例えば、作業をうまく進める方法が分からず手がかりを探しているなら「暗中模索」、いろいろな進め方を実際に試して直しているなら「試行錯誤」、新しい進め方を考え出す点を強調するなら「創意工夫」が合います。

三つの言葉は一緒に使える場面もあります。新しい方法を考え、それを試して改善することもあるからです。何を一番伝えたいのかに合わせて選ぶとよいでしょう。

参考資料