「薦める」「勧める」「奨める」の違いは?

言葉・日本語
ソボチエ編集部

「薦める」「勧める」「奨める」は、どれも「すすめる」と読みます。基本の違いは、人や物をよいものとして紹介するなら「薦める」、相手に何かをするよう促すなら「勧める」、よい活動を盛んにするよう励ますなら「奨める」という点です。

ただし、「奨める」の「すすめる」は常用漢字表にない読み方です。通常の文章では「勧める」や「奨励する」と書くと分かりやすくなります。

「薦める」は人や物を推薦するとき

「薦める」は、ある人や物のよいところを伝え、選んだり採用したりするように紹介する言葉です。「推薦」の「薦」を思い浮かべると意味がつかみやすくなります。

  • 友人にお気に入りの本を薦める
  • 旅行先で訪れたい店を薦める
  • 後任の候補者として先輩を薦める
  • 新しい商品をお客さんに薦める

例えば「この本を薦める」は、その本がよいと思うので読んでみてほしい、という意味です。「この人を委員に薦める」は、その人が委員にふさわしいと考えて推薦することです。具体的な本や人などを選んで紹介するのが中心になります。

「勧める」は何かをするよう促すとき

「勧める」は、相手にある行動をしてもらおうと誘いかける言葉です。「勧誘」の「勧」で、活動への参加や、何かを始めることなどを促すときに使います。

  • 友人に読書を勧める
  • 学校の部活動への入部を勧める
  • 疲れた人に休憩を勧める
  • お客さんにお茶を勧める

「読書を勧める」は、本を読むという行動をしてみてはどうかと伝えることです。また、「お茶を勧める」は、相手にお茶を飲んでもらおうと差し出す場面で使います。物が出てくる文でも、相手に飲食などの行動を促すなら「勧める」が合います。

「奨める」はよい活動を励まし、広める意味

「奨める」は、よいと考えられる活動を積極的に行うよう励ますことです。「奨励(しょうれい)」や「推奨(すいしょう)」に使う「奨」と同じ意味が含まれています。

  • 太陽エネルギーの利用を奨める
  • 学生に研究を奨める
  • 進学を奨める

漢字ペディアでは、このような使い方を「奨める」の例として挙げています。ただし、「奨」は常用漢字でも、「すすめる」という読み方は常用漢字表にありません。学校の作文や仕事の文章などでは、「研究を勧める」「研究を奨励する」のように、意味に応じて書き換えるとよいでしょう。

「本を薦める」と「読書を勧める」はどう違う?

使い分けを考えるときに役立つのが、「本」と「読書」の違いです。文化庁の「『異字同訓』の漢字の使い分け例」でも、両者を比べて説明しています。

  • 「この本を薦める」:特定の本がよいと評価して紹介する
  • 「読書を勧める」:本を読むという行動を促す
  • 「候補者を薦める」:その人が役割にふさわしいと推薦する
  • 「入会を勧める」:会に入るように誘いかける

人や物を選んで推薦するのか、相手の行動を促すのかを考えると、自然な漢字を選びやすくなります。

「お茶を勧める」と「お茶を薦める」の違い

同じ「お茶」でも、何を伝えたいかによって漢字が変わります。来客に「どうぞお飲みください」とお茶を差し出すなら、「お茶を勧める」です。これは飲むように促す言い方です。

一方、おいしい茶葉や商品を選んで「これがよいですよ」と紹介するなら、「このお茶を薦める」と書けます。「物なら必ず薦める」ではなく、飲むことを促すのか、商品を推薦するのかで判断しましょう。

「お薦め」「お勧め」「おすすめ」はどう選ぶ?

「お薦めの一冊」は、よい本を選んで紹介する表現です。「入会をお勧めします」は、入会するという行動を促しています。

ただ、「おすすめ」のように短い言葉だけでは、物の紹介と行動への誘いが重なることもあります。漢字を無理に決めなくても、ひらがなで「おすすめ」と書けば自然に伝わります。文化庁の使い分け例も、必要に応じて仮名で書くことを認めています。

「進める」との違いにも注意

同じ「すすめる」でも、「仕事を進める」「計画を進める」の「進める」は、物事を前に動かしたり、作業を進行させたりする意味です。人に行動を促したり、物を推薦したりする「勧める」「薦める」とは区別します。

「計画を進める」は計画を実行に移していくこと、「計画への参加を勧める」は人を誘うことです。何をするのかを考えると混同しにくくなります。

まとめ

人や物を推薦するなら「薦める」、相手に行動を促すなら「勧める」が基本です。「奨める」は活動を励ます意味ですが、「すすめる」は常用漢字表にない読み方なので、普段は「勧める」や「奨励する」を選ぶと分かりやすくなります。

参考資料