氷に塩をかけると冷たくなるのはなぜ?

身近な科学・しくみ
admin

氷に塩をかけると、氷だけのときより温度が下がり、0℃より低くなることがあります。理由は、塩が混ざると水の凍る温度が下がる「凝固点降下」が起こり、氷がさらに溶けるからです。氷が溶けるときには周りから熱を奪うため、氷と塩の混合物そのものがどんどん冷たくなります。

塩が混ざると、水は0℃でも凍りにくくなる

純粋な水は、ふつう0℃付近で水と氷が入れ替わりながらつり合っています。ところが、氷の表面にある少量の水に塩が溶けると、塩水は真水より凍る温度が低くなります。これが「凝固点降下」です。

山口大学は、塩を混ぜると塩水から氷になる水分子が減り、氷から水になる分子のほうが多くなるため、氷がさらに溶けていくと説明しています。

氷が溶けるときに周りの熱を奪う

氷が固体から液体の水へ変わるには、熱が必要です。このとき必要な熱を「融解熱」といいます。氷は自分だけでその熱を作れないため、周りの氷水や容器、空気などから熱を受け取って溶けます。

日本化学会近畿支部の質問コーナーでは、氷に塩を混ぜると氷が速く溶け、そのとき周囲から熱を奪うため温度が下がると説明しています。さらに、食塩が氷水に溶けるときにも周りから熱を奪うため、冷却に加わります。

だから0℃より低くても氷が溶け続ける

氷だけなら、0℃付近になると「溶ける」と「凍る」がつり合いやすくなります。しかし塩があると凍る温度そのものが下がるため、0℃より低くても氷が溶ける状態が続きます。

その間、氷が溶けるための熱が周囲から奪われ続けるので、温度はさらに低下します。条件が整えば、氷と食塩の混合物はマイナス20℃前後まで下がることがあります。山口大学は最大で約-21.3℃、日本化学会近畿支部も氷と塩を質量比3対1で混ぜると-20℃程度まで下がると紹介しています。

アイスクリーム作りにも使われるしくみ

この性質は、冷凍庫を使わないアイスクリーム作りにも利用できます。NGKサイエンスサイトでは、氷に塩を加えると氷点下まで温度が下がり、その低温でアイスクリームの材料を冷やし固める実験を紹介しています。

つまり、塩そのものが「冷たい物質」なのではありません。塩が水の凍る温度を下げ、その結果として氷が溶けやすくなり、溶けるときに熱を奪うことがポイントです。

実験するときは冷えすぎに注意する

氷と塩の混合物は、家庭の冷凍庫と同じくらいの低温になることがあります。山口大学は、実験ではボウルの周りがとても冷たくなるため、軍手やタオルを使うよう案内しています。

子どもが試す場合は大人と一緒に行い、冷えた容器や氷塩を長時間素手で触らないようにしましょう。

まとめ

氷に塩をかけると、塩による凝固点降下で氷が0℃より低い温度でも溶けやすくなります。氷が溶けるときに周囲から熱を奪い、食塩が溶けるときの吸熱も加わるため、混合物の温度は0℃より下まで下がります。これが、氷に塩をかけるといっそう冷たくなる理由です。

参考資料